【高校ラグビー】東福岡、古田学央主将「ごめん…」ラストプレーでノックオン号泣「最後自分が…」
<全国高校ラグビー大会:東海大大阪仰星17-12東福岡>◇準々決勝◇3日◇大阪・花園ラグビー場 【一覧】高校ラグビー勝ち上がり表 ノーサイドの笛が鳴った瞬間、東福岡のNO8古田学央主将(3年)が、その場に膝から崩れ落ちた。 「ごめん…」 取材エリアでも、おえつが止まらなかった。口元を震わせ、言葉を振り絞る。 「最後の最後、自分が落としてしまって…。ほんとうに悔しいです」 試合終了間際の後半31分だった。スコアは12-17。1トライで同点の場面だ。東福岡の選手たちはパスをつなぎ、ゴールへ攻め込む。だが、古田主将が痛恨のノックオン。ボールが手につかず、ラスト1プレーに泣いた。前回大会準優勝も、今大会は12大会ぶりに8強で姿を消した。 「グリーンジャージーのために、みんな体を張ってくれたんですけど。自分が落として、ノーサイドの笛が鳴って負けてしまった」 終盤の追い上げは、名門の意地だった。前半に計3トライを献上し、0-17で後半へ突入した。同5分、同16分に連続トライを奪い、5点差に迫った。「後半は自分たちが風上になってエリアも取れた。自分たちの流れに持っていけた」と胸を張った。 苦しい1年でもあった。現チームは全国無冠。春の全国選抜大会で初戦敗退を喫し、7連覇中だった6月の九州大会では大分東明に決勝で力負けした。毎年10人程度の高校日本代表候補を擁すも、今年はわずか2人。例年より、実力は劣り、主将として歴代主将とのギャップに思い悩むこともあった。それでも「今年は今年の代。自分たちの代」と割り切り、チームの現状を細かくノートにしたためてきた。 新チーム時に毎年掲げるスローガンは「咲」だった。意図は「自分たちの代はあまり強くないけど、1人1人に“花”がある。花園の舞台で花を咲かせたいと思ったのと、調べたら(咲の)文字に『笑う』の意味もあった」と言う。古田主将は「満開というわけじゃなかった。でも、8分、9分ぐらいは咲くことができた。1、2年生が満開にしてくれると思います」。今大会は登録メンバー30人中16人が1、2年生。期待する下級生へ、全国制覇の夢を託した。【佐藤究】