「誰もが心の病気になり得るし、何回でもやり直せる」 2度のメンタル不調を経験した27歳男性が伝えたいこと
そこで、3カ月間の休職期間が終わるのと同時に、思い切って会社を辞めた。「社会問題解決を目指す日本一周の旅をしたい」と掲げてクラウドファンディングで集めた263万円を資金に、2021年に自転車で全国一周をスタートした。その原点は、自らもかつて抱いた「メンタル不調に対する否定的なイメージを払拭したい」との願いだ。行く先々で自分の経験を語ろうと決意した。 ただ、はじめは相手にされなかった。特技のバスケットボールを持ち歩き、訪問先の学校やクラブチームでスポーツ交流にも挑戦した。新聞やテレビに取り上げられ、徐々に講演の機会が増えた。自転車の全国一周を終えた2022年夏以降も講演活動を続け、学校や福祉施設など、これまでに約30カ所で話をした。 ▽4人に1人が心の病に、若者や働き盛りの人も 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所によると、4人に1人が生涯を通じて心の病になると言われている。原さんのように再発に苦しむ人も多い。
厚生労働省によると、2020年に精神疾患で通院した人は、認知症などの高齢者を含め約586万人。このうち、25歳未満が全体の13・5%に当たる約79万人、25~34歳が9・2%で約54万人、35~44歳が13・3%で約78万人と若者や働き盛りの人も目立つ。 仕事でストレスを抱える働き手は多い。厚労省が2022年に実施した調査では、労働者の82・2%が「強い不安や悩み、ストレスを感じる」と回答している。内容は「仕事の量」「仕事の失敗、責任の発生」「仕事の質」が多かった。 メンタル不調が原因で休業、さらには退職する人も少なくない。事業所を対象にした調査では、過去1年にメンタル不調で1カ月以上休業もしくは退職した労働者がいた割合は13・3%。事業所内の労働者のうち、1カ月以上休業した人の割合は0・6%だった。 ▽筆者も…多くの人が同様に苦しんでいる 実は筆者もコロナ禍の海外単身赴任中に人間関係などに悩んでメンタル不調に陥り帰国後、一時仕事から離れていた。当時、東京都内のクリニックに通院。処方薬を服用し、日中を自宅などで過ごした。将来に漠然とした不安を感じていた。