新卒ですが、初任給「25万円」のうち天引きは約8000円で、手取りが「24万円」以上ありました。手取りは「8割」と聞いていたのですが、計算ミスでしょうか? あとから引かれてしまわないか不安です…
2024年4月に入社した新社会人や転職した人などは、初任給を手にして、思っていたより多く振り込まれていたという人もいるかもしれません。大きな誤差があると、会社の「計算間違い」を心配するところですが、問題ない場合が多いので安心してください。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? 本記事では、初任給の手取りが多くなる理由について解説します。
月給25万円の天引きは約4万円
それではまず、月給25万円の人の天引き額は本来いくらなのかを計算してみましょう。給与から天引きされるのは、基本的に厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、源泉所得税、住民税です。 ただし住民税については、前年分の所得に対する金額が翌年に天引きされることから、新卒入社であれば翌年5月までは天引きがありません。 【厚生年金保険料】2万3790円 【健康保険料】1万2974円(介護保険第2号被保険者に該当しない場合) 【雇用保険料】1500円 【源泉所得税】5200円(扶養親族等の数0人の場合) 合計4万3464円
初任給は社会保険料が引かれない場合がある
ではなぜ、今回のケースの新入社員の人は、初任給の手取りが約24万円もあったのでしょうか。それは、厚生年金保険料と健康保険料が天引きされていないからだと考えられます。その場合、この人の給与25万円から天引きされているのは、雇用保険料1500円と源泉所得税6530円のみで、手取りが24万円あったということに符合します。 厚生年金保険料と健康保険料が天引きされていない理由は、原則として会社が従業員の給与から厚生年金保険料と健康保険料を控除するのは「翌月の給与から」であるためです。つまり、4月分の厚生年金保険料と健康保険料は4月の給与からは天引きされず、5月の給与から天引きされるということです。 なお、同じ社会保険料であっても雇用保険料については天引きの月がずれるということはなく、給与の都度、天引きされます。よって、雇用保険料は4月の給与からすでに天引きされています。
天引きのタイミングは会社で異なる
ただし、この「厚生年金保険料と健康保険料の天引きは翌月の給与から」は、あくまでも原則であり、給与の締め日などの関係から初任給から天引きされる会社もあります。一律に決まっていることではないので注意しましょう。
まとめ
初任給の手取りが思っていたより多かったのは、厚生年金保険料と健康保険料が天引きされていないのではないでしょうか。これは決して計算間違いではなく、原則的な計算が行われているだけなので安心してください。翌月の給与からは額面の8割程度の手取りになっているはずです。 出典 全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都) 厚生労働省 令和6年度の雇用保険料率について 国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分) 執筆者:佐々木咲 2級FP技能士
ファイナンシャルフィールド編集部