混乱、飛び交う情報、驚き…スコッティ・シェフラー“狂想曲”の一部始終
垣間見た世界ランク1位の強心臓
シェフラーはスタートの1時間前にコースに到着し、練習もそこそこにティオフした。出だしの10番ホールはロープ内が見えないほどの人だかり。シェフラーがティショットを放つと、「スコティ!スコティ!」と声援が響き渡る。ニュースを知っているのだろうか。みなシェフラーを応援している印象だった。
10番(パー5)の3打目を1m弱に寄せると、ファンは「あんな事件のあとにこんなショット打てるの?」といった具合にうれしそうに顔を見合わせていた。バーディ、ボギー、バーディ浮き沈みの激しい出だし3ホール。その後もバーディを重ね、終わってみれば「66」の通算9アンダーで暫定4位タイまで浮上した。
いったいこの強心臓はなんなのだろうか。スタート前に拘束なんてされたら、プレーすらままならない選手もいるかもしれない。それでスコアを伸ばしてくるあたり、やはり尋常ではない。「逮捕→メジャー優勝」なんてシナリオになれば、そのうちネットフリックスで流れるんじゃないか。そんなことを思いながら試合後のシェフラーの会見場に向かった。
会見場の雰囲気は
試合後の会見は、離婚報道翌日だったロリー・マキロイ(北アイルランド)の会見よりも人であふれていた。シェフラーは今朝起きたことを、警察官とのやり取り以外は包み隠さず話した。時にうつむいたり、おもむろに机の上の塵をはたいたり、どこか落ち着かない様子。それでも話をすることで、徐々に平静さを取り戻しているようだった。一通りの質問に答えると会見場を後にし、練習場に向かっていった。
練習を見守るギャラリースタンドの中には、逮捕時のシェフラーの画像(オレンジ色の服を着たもの)を胸にプリントしたTシャツを着るギャラリーがいた。今朝の出来事だよね? もうTシャツなんて作ったの? アメリカはホントこういうの早いな。
早朝からの騒動を受け、午後3時11分に松山英樹がスタートするころには、もうひと仕事もふた仕事も終えて疲れ切っていた。でも、取材の本番はここから始まる。はぁ、長い一日だった…。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)