実はガチなダイハツのモータースポーツ活動!全日本ラリー仕様「ミラ イース」などに試乗してみた!
ダイハツは、日常の足として親しまれている軽自動車やコンパクトSUVをベースに、モータースポーツへの積極的な参戦を通じて車両開発の深化を図っている。どのような取り組みなのか紹介していこう。 【写真】ダイハツのモータースポーツ車両の詳細 PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto) モータースポーツを起点とした「もっといいクルマづくり」 ダイハツといえば、数多くの軽自動車をランナップし、日常の生活に密着したクルマを販売しているメーカーというイメージを持っている読者も多いだろう。しかし、そんなイメージとはうらはらに、ダイハツは、モータースポーツ活動を積極的に展開しており、特にコンパクトカーを使ったラリーに力を入れている。 DAIHATSU GAZOO Racing(以下、DGR)は、トヨタ自動車のモータースポーツ部門「TOYOTA GAZOO Racing」との連携を背景に、ダイハツのブランド力向上と技術革新を推進するために設立された。軽自動車やコンパクトカーを中心に扱うダイハツが、モータースポーツという領域でどのような成果を挙げているのか。その活動内容と意義について掘り下げてみよう。 DGRの最大の特徴は、軽自動車やコンパクトカーに特化したモータースポーツ活動を展開している点だ。他のメーカーが中型以上の車両で競技に参入する中、DGRは「軽量・小型車の可能性」を示すべく、独自の挑戦を続けている。特に、全日本ラリー選手権や耐久レース「K4GP」への参加を通じて得られた、実践的なデータ収集と技術の向上は、競技用としてだけでなく市販車開発にも還元され、ブランド全体の技術力向上に寄与している。 個性豊かなモータースポーツ車両に試乗! 今回、ダイハツが2024年のラリー活動で使用した2台の競技車両と、D-SPORTが手掛けたコペン GR SPORTの試乗機会が得られた。試乗は愛知県のスパ西浦モーターパークで行われ、以下の車両が用意された。 DAIHATSU Mira e:s Rally car : ミラ イースのLグレードをベースに、自然吸気エンジンをターボ化し、CVTから5速MTへと変更。全日本ラリー選手権のオープンクラスに参戦している。ブレーキは6ポッドキャリパーに強化され、競技仕様の足回りが装備されている。 DAIHATSU Rocky Rally car : 1.0Lターボを搭載し、CVTをチューニングした仕様。ラリー北海道などのグラベルラリーに参戦している。ユーザーが日常的に走行する道を封鎖して行うラリー競技での限界走行を通じて、耐久性の向上を図っている。 コペン GR SPORT(D-SPORT仕様): サスペンション、空力、エンジンの適合を進めたモデル。D-SPORTが手掛けるアフターパーツの開発と連動し、走行性能の向上を目指している。 全日本ラリー参戦の「ミラ イース」はターボ&5速MT仕様 「DAIHATSU Mira e:s Rally car」は、全日本ラリー選手権のオープンクラスに参戦する競技車両で、軽量コンパクトなボディに標準の自然吸気エンジンをターボ化して、CVTは5速MTへと変更されている。軽量な車体のおかげで、ターボ化されたエンジンはスムーズかつ力強い加速を発揮する。強化された足回りと6Potブレーキシステムが印象的で、特にサーキット走行では高い安定性と制動力を発揮するが、ブレーキがブースターレスで、市販車のフルブレーキングのような感覚で踏み込まないとブレーキが効かない競技仕様のため慣れが必要だった。また、ハンドリングは軽快で、細かい操作に対する応答性も良好であった。この車両は、競技だけでなく市販車への技術フィードバックを意識して開発されており、ダイハツの技術力を体現するモデルといえる。 グラベルラリー参戦の「ロッキー」ラリーカーはCVT仕様 「DAIHATSU Rocky Rally car」は、1.0Lターボエンジンを搭載し、チューニングされたCVTを組み合わせた仕様で、ラリー北海道をはじめとするグラベルラリーで活躍しているモデルだ。ABSやトラクションコントロールなど安全デバイスはカットされている。Sレンジで走るとエンジン回転数は高回転を維持し、ターボエンジンらしい力強い加速を発揮する。コーナーの立ち上がりでもエンジン回転数は落ちない。グラベルラリー用のエアボリュームが大きいタイヤを履き、SUVの高い車高では、路面に張り付くような安定感とはいかないが、チューニングされた足回りは、路面の衝撃を適切に吸収しながら、安定したコーナリング性能を発揮した。操作感の良さと競技性能を両立するSUVとしての完成度の高さを実感させるモデルだった。 D-SPORTが手掛けた「コペン GR SPORT」チューニングカー 「コペン GR SPORT(D-SPORT仕様)」は、D-SPORTが手掛けたアフターパーツを活用し、ストリートからサーキットまで幅広いシーンでの走行性能を追求したモデルだ。0.66Lターボエンジンはトルクもしっかりしていて、排気サウンドも迫力がある。軽量なボディと専用のサスペンション、6ポッドブレーキや空力パーツがもたらす優れた安定性と俊敏なハンドリングが際立っていて、ドライバーの意図に対するダイレクトな応答性を実現する、特にコーナリングが楽しい一台だ。ただ、タイトな車体設計のため大柄なドライバーは窮屈なポジションを強いられるかもしれない。小さいながらもスポーツカーとしてのキャラクターを存分に発揮し、日常使いからスポーティな走行までオールマイティにこなすことができる絶好の一台としてお勧めしたい。 なお、ダイハツは1月に開催される東京オートサロン2025に出展し、今回試乗した「DAIHATSU Mira e:s Rally car」や、ミライースをベースに、ターボ/MT化することで誰でも気軽にスポーティーな走りを楽しむことができる新型「ミラ イース GR SPORT コンセプト」、ラリージャパン2024に参戦した「コペン GR SPORT」を展示する予定なので見逃せない!
MotorFan編集部