工場見学で大正知って! 区が全国初の修学旅行ツアー企画事業
区が修学旅行をコーディネート
大阪市大正区は13日、同区内の企業40社の協力で、工場見学に訪れる全国の小学校から高等学校までの修学旅行をコーディネートする「修学旅行ものづくり工場見学ツアー」事業を本格的に始動すると発表した。これにより、ものづくりのおもしろさを体験してもらい、将来の働き場所に同区を選んでもらおうというのがねらいだという。同区担当者は「こうした取り組みは『全国初』。修学旅行の記憶は一生残り、またそのコースに大正が選ばれているという価値から、街の活性化にもつながれば」と意気込みをみせている。
1965年ピークに人口減、現在は大阪市最下位に
関係者によると、かつて「東洋のマンチェスター」という名で知らしめた大正区は、大阪紡績会社をはじめとする「ものづくり」の街として栄え、人口も1965年には9万5509人まで増えるなど街に活気があった。 しかし、それ以降は不況などの影響もあり人口が減り、現在では6万4869人となり、一昨年には此花区に抜かれ大阪市内で最も人口が少ない区になってしまったという。 「このままでは人口減が続く、なんとか止めなければ」。そんな思いから、同区総務課の政策プロモーション担当チームが街の活性化に乗り出したその時、大阪の観光戦略などを考える「大阪観光局」から、人を呼び込むツールとして「大正区の現場をみてもらうのはどうだろう」という提案があった。
最初はどの企業も「だれが見るんや」という反応だった
同区は高度な技術を有する企業や、創業から100年を迎える伝統のある企業が多く存在。そこで、その地域最大の「強み」を活用し、各企業の工場見学ツアーに全国からの修学旅行生を本格的に受け入れ、同区の「ものづくり」の楽しさ、大切さを知ってもらおうと、今回のプロジェクトが立ち上がった。 だが「当初は地元企業の反応もそれほどよくはなかったんです」と振り返る同課課長代理の近藤高史さん。企業からは「自分が働いてる職場なんで、だれがみるんや」「見てもしかたない、何の役に立つんや」という反応ばかりだったという。 そこでひるんでは話は進まない。3年前には「大正ものづくりプライド」という、企業や地域、行政が連携した工場見学会を企画。近藤さんらは、企業に一つひとつていねいにこの企画の趣旨を説明し、協力してくれた企業で試験的に修学旅行生を受け入れてもらうようになった。 すると、企業側の反応が変わっていった。「真剣に取り組む修学旅行生の姿に、企業さんもすごい『手ごたえ』を感じてくれたんです。そして、それが区内のいろんな企業さんに口コミが広がり、今では40社が協力してくれるようになったんです」と近藤さんはうれしそうに語る。