一度は行ってみたい「日本一古いおでん屋」!? 創業180周年を迎える「たこ梅」が常に愛され続けたワケとは
●店主もお客さんも世代を超えて「たこ梅」で繋がっている
たこ梅が180年もの歴史を積み重ねてきた背景には、通い続けるお客さんたちの存在があります。 いったいなぜ、「たこ梅」は愛され続けているのでしょうか? 前出の哲生氏は次のように話しています。 「たこ梅のお客さまに、どうして店に通っているのか?と尋ねると、関東煮(おでん)、たこ甘露煮や酒が美味しいからという答えが多く返ってきます。 もちろん、飲食店ですから、商品が美味しいのは当然だと思います。美味しいだけなら、ほかにも美味しいものもいくらでもあります。 その中で、当店にいらっしゃるのは、本質的に何があるのかというと、たこ甘露煮や関東煮、燗酒を召し上がって美味しいな、来てよかったなという体験をされているのだと思います」
このような体験のことを哲生氏は「人生がちょっと豊かになった」ということではないかと語っています。 「私どもは、『お客さんの人生がちょっと豊かになる』ということをたこ梅という商売を通してやっているのだと思います。 ですので、経営も、昔から続くことも新しく取り組むことも、それが『お客さんの人生をちょっと豊かにする』ことに役立っているかどうかを考えます。 その観点から常に考え、今も大事にすべきだしこれからも残していくものとして、昔からの味や設え、やり方を守っています。そして、「お客さんの人生がちょっと豊かになる」ということを考えて新たなことにも取り組んでいます」 新たな取り組みの例として、夏にビール工場見学、冬に酒造見学を行っているそうです。 お客さんのことを常に考え、サービスを提供している「たこ梅」ですが、実際に訪れている方たちからはどのような反響が寄せられているのでしょうか。 これについても、5代目哲生氏は次のように話しています。 「当店は、私で5代目ですが、一方でお客さまでも、世代を超えて通ってくださる方がいらっしゃいます。若いお客さまでよく『大阪に行くんやったら、たこ梅にいってこいとお父さんに言われてきました』と言う方がいらっしゃいます。 また、上司に連れられていらっしゃる会社員さんも多くお見えになります。 大阪出張に当たって上司から『今度、大阪出張ならたこ梅行っておいで』と言われたというお客様も多いです」 親や祖父母、上司に紹介されて訪れたという人が多いそうです。店主だけでなく、お客さんもまた、たこ梅の味を世代間で引き継いでいることがわかります。 他にも、グルメ雑誌やサイトを見て訪れる人や、最近ではインスタなどSNSに投稿されているのを見てやってきたという人も多いとのこと。 また、海外のお客さんも増えているそうです。 もちろん味の評価が高く、リピーターとして通う人や、なかには旅行に来た際に3日間とも「たこ梅」で食事をしたという人もいるそうです。 そんな「たこ梅」の人気メニューは、定番メニューである「さえずり」と「たこ甘露煮」です。 たこ甘露煮は、創業以来ずっと真蛸(マダコ)を代々受け継がれる出汁で焚き続けている、「たこ梅」の名物料理のひとつです。 この「たこ甘露煮」と「さえずり」は、それ目当てで訪れるお客さんが多いほどの人気メニューです。 その他にも、鯨大和煮、鯨すじどて、鯨かわぽん酢、鯨塩たん、鯨ゆっけ、ローストくじらなど、鯨メニューが充実しており、最近は、これらの鯨メニューも人気だそうです。 また、〆に食べる「しるかけご飯」(ご飯に関東煮のダシをかけたもの)も人気を博しています。 そして、季節ごとに変わるメニューもあるので、その時々でしか堪能できない味を楽しむこともできます。 たとえば、この先、夏になると7月下旬ころから1ヶ月くらいだけの「たこの子甘露煮」が登場します。 また、おでんでは夏のシーズンにかけて、季節ものの「冬瓜」「焼きナス」「水ナスしゃぶしゃぶ」などがおすすめだそうです。 ※ ※ ※ 「日本一古いおでん屋」として知られる「たこ梅」は、定番料理の「さえずり」や「たこ甘露煮」、錫の上燗コップなど、昔から変わらない味を代々守る一方で、「お客さんの人生を豊かにする」ことを心がけてきました。 そんなたこ梅の経営理念が、お客さんに時代を超えて愛される秘訣となっているようです。
Peacock Blue K.K.