【山口発】建設業から漁業、農業へ。地域をまとめるリーダーシップが、業種を超えた地元ブランド開発につながる
日本海に面した山口県長門市。地元に根ざした総合建設会社として、土木、建築、住宅の事業分野でインフラを支えてきた安藤建設では、バブルが始まった1985年あたりから次の時代を見据えて、多角経営を行ってきました。 陸でのトラフグの養殖をスタートさせ、現在は地元の水産業を支える規模に成長。畜産業や介護、農業と、人口減少を支えながら事業として発展させてきました。 大成功したトラフグの養殖事業を中心に、地域の建設業による地域と連携した地方創生の試みをリポートします。
耕作放棄地をよみがえらせる地元建設業の新たな一手
建設業界のバブル期から、地域の発展や時代の流れを見越して、陸でのトラフグの養殖をはじめ、外食産業や畜産業、介護事業など、地域の活性化のために多角経営を進めてきた安藤建設。今、進めようとしているのが耕作放棄地をよみがえらせるための農業への進出です。 安藤建設の代表取締役社長である安藤繁之さんに伺いました。
安藤「養殖事業への取り組みのきっかけは、造成した用地の使途がなくなってしまったことでした。今回は、役所を通じて、耕作放棄地を当社でなんとかしてくれないかという相談を受けて『よし、じゃあやろう』と奮起しました」 先代の「何でも、地域のためになることは、すぐにやろう」という地場建設業の志は、安藤さんにも受け継がれているようです。すぐに耕作放棄地の様子を見に行き、そこで、楽天農業株式会社と組んでの事業がスタートしました。
安藤「2021年に、長門市と楽天、楽天農業の3者によって、農業連携協定を締結しています。日本の農業の課題を解決して、農業によって地域をエンパワーメントするために、一緒に事業を進めています」 漁業への進出の際と同じく、作るのは得意だが、売るのは得意ではない。だからこそ、他社と連携して新たな事業を生み出していく。これまでのスキルがどんどん生かされ、積み重なっていきます。
価値の薄いものには一手間かけて付加価値をつける
これまでは、自社で経営する畜産業のために、牧草地を造ってきたという安藤建設が、本格的に農業に乗り出し、2022年より、楽天農業と共にサツマイモの生産に着手しました。 安藤建設の取締役営業部長である安藤雄紀さんに伺いました。