イチローのマリナーズ復帰の可能性はあるのか?
イチローとの再契約に関しては、わざわざなにかを仄めかす必要はない。 再契約の可能性がなければ、ジョーンズ記者が指摘したように、「世代交代を図っているから」と言えば済む話である。囲み取材が終わってから二人で話をすると、改めてディポトGMは「話し合うことになる」と口にした。 ただおそらく、イチローとの再契約ともなれば、ディポトGMの裁量の範囲を超えているのではないか。 実はちょうどそのとき、シアトルではマリナーズのオーナーが一堂に会し、会議が開かれていた。 「オーナー会議は毎月、行われている」とディポトGMは説明したが、日本の任天堂の責任者が毎回出席するわけではない。基本的には、1年の収支決算が報告される場だが、当然ながら、補強方針、またその予算なども話し合われる。イチローを獲得するとしたら、ここで意思統一が行われ、かつてであれば、当然ながら任天堂の意思が反映されたはずだが、球団の所有比率が10%で第3位となった今、影響力がどこまで及ぶのか不透明だ。 だが、仮に今もマリナーズの筆頭オーナーで、山内氏がご健在であれば、どんな判断を下すのか。 話はここで2年前に戻るが、もしも今回、マリナーズがイチローを巡って山内氏の意思を継ぐのだとしたら、想定できる基準が一つある。 マリナーズは情によって動くことはない。 イチローを呼び戻すとしたら、もっと別のところにある。 後はそれが、オーナーグループの総意となるかどうか。任天堂だけでは、押し切れまい。 いずれにしても最終的な判断は、彼らに委ねられている。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)