w.o.d.×キタニタツヤ お互い切磋琢磨し合える仲間「『BLEACH』対バン」
w.o.d.が主催する東名阪対バンツアー「w.o.d. presents “スペース・インベーダーズ VI”」。名古屋公演に続いて7月12日に開催されたZepp DiverCityでの東京公演にはキタニタツヤがゲスト出演。ホストのw.o.d.とともにそれぞれのスタイルで熱いライブを繰り広げて見せた。その模様をレポートする。 【全ての写真】w.o.d.×キタニタツヤが競演した『スペース・インベーダーズ VI』東京公演(全19枚) 「キタニタツヤです、よろしく!」という挨拶とともにけたたましくかき鳴らされたギターが熱狂の幕開けを告げる。先陣を切るキタニの1曲目は「スカー」。一心不乱に放たれるバンドのサウンドが会場の温度を一気に高めていく。そこにすかさず投下されるのが、まったく毛色の違う「次回予告」というのも憎い。掴めそうで掴めない、数多の引き出しをもつ彼というアーティストならではの展開に、フロアも腕を上げて応戦する。 たった2曲でZepp DiverCityの空気を完全に掌握したキタニは、その後もライブの鉄板曲「悪魔の踊り方」にずっしりとしたリズムの中アンセミックなスケールで繰り出されるミドルチューン「永遠」と、幅広い音楽性でフロアを翻弄していった。 MCでw.o.d.のライブを初めて観たのが2021年に開催された『SPACE INVADERS 5.5』の東京公演(Age Factoryとのツーマン)だったというエピソードとともに出演できた喜びを語りつつ、ライブはさらに続いていく。 初期の名曲「芥の部屋は錆色に沈む」を鋭利なサウンドとともに披露すると、ダークなギターリフが不穏なムードを浮かび上がらせる「夜がこわれる」へ。言葉を吐き出して闇を暴き出すようなキタニの低音ボーカルが場内の空気をピリッと引き締める。先ほどまで手を振り上げて盛り上がっていたオーディエンスが一転みじろぎもせず聴き入っている姿がとても印象的だ。 そしてその闇をアッパーなビートとともに突き抜けるような「Moonthief」へ。ハンドマイクで体を揺らしながらフロアに歌いかけるキタニ。今度はフロアに漂っていた張り詰めた空気が瞬時にして解れ、人並みがゆらゆらと動き出す。さらに「聖者の行進」を繰り出せば、オーディエンスから大きな手拍子が巻き起こる。持てる武器を駆使しながらひとつのストーリーを紡ぎ上げていくようなライブには堂々たる貫禄すら感じる。 「楽しいです、どうもありがとうございます!」と改めて感謝を述べつつ、「MVを観てw.o.d.を初めて知って。すぐにSNSをフォローして、DMして『ライブ観にいかせてくれ』ってお願いした」とw.o.d.との出会いを振り返るキタニ。 彼はそのとき「こんな時代に、自分と同世代でこんなピュアなバンドがいるんだなって感動した」のだという。「過去とか未来を考えさせる余地がないピュアさ。クソほど短い人生を、本質的じゃないものを全部捨てて『今を見ろよ』って思わせてくれる。w.o.d.は現代のバンドとして珍しい、そういうピュアさを持っている」。w.o.d.というバンドを言い当てたそんな言葉にフロアから歓声が飛ぶ中、ライブは終盤へ向かっていく。 優しく広がるような「タナトフォビア」と力強い「Rapport」のコンボから5月にサプライズリリースされた「ずうっといっしょ!」を披露すると、ラストは「青のすみか」。代表曲で会場をひとつにすると「また会いましょう」と手を合わせて帰っていった。 そしていよいよw.o.d.の登場だ。広いZeppのステージの中央にぎゅっと集められたアンプや楽器が期待感を煽る。SEとしてヴァニラ・ファッジによるビートルズ「チケット・トゥ・ライド」のカバーが鳴り響く中登場したサイトウタクヤ(vo/g)、Ken Mackay(b)、中島元良(ds)の3人。思い思いに楽器の感触を確かめると、刹那、サイトウのギターリフが鳴り響いた。 オープニングを飾るのはいきなり「STARS」だ。ド派手に点滅するライトが瞬時に最高潮に達したフロアを照らし出す。元良の叩くタムの力強い響きが、暴れ回るKenのベースが、そしてサイトウのシャウトが、転換を経て少し落ち着いた場内のボルテージに火をつけていく。