初訪台の若田光一さん「台湾の技術、宇宙開発に貢献できる」 中央社単独取材
(高雄中央社)宇宙飛行士の若田光一さんが南部・高雄市で11月30日から12月4日まで開かれた台湾宇宙国際年会(TASTI)での講演のために台湾を訪れ、会期中に中央社の単独インタビューに応じた。台湾が人工衛星やロケットの開発を行っていることに触れ、さらに有人宇宙飛行の分野にも手を広げれば、台湾の科学技術は人類の宇宙開発に多くの貢献をもたらすだろうと語った。訪台は初めて。 若田さんは、台湾は半導体など科学技術の分野で世界をリードしているとした上で、テクノロジー大国としての優勢を維持するためには有人宇宙飛行計画が大きな助けになると話す。理由として、宇宙飛行士は微小重力空間で新薬や新材料の開発といった研究を多く行えるからだと説明した。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した若田さんは現在、米国の宇宙企業「アクシオムスペース」に所属している。同社は2030年に引退を予定している国際宇宙ステーション(ISS)に自社のモジュールを連結できる権利を持つ唯一の企業。若田さんはISSが20年以上の運用を行う中で、生産において微小重力の優位性を生かせる分野が分かってきたとし、その例として半導体材料などがあると言及。同社として台湾との協力の機会があることを望んでいると述べた。 宇宙飛行士にとって、ふるさとの味は大きな心の支えになると語る若田さん。宇宙ビジネスが発展する中で、日本の納豆や台湾の臭豆腐、韓国のキムチを宇宙に持ち込んで一緒に食べる「アジアグルメ連盟」を作れるかもしれないとし、宇宙で臭豆腐を食べるのは「私の夢だ」とユーモアを交えて話した。 (張璦/編集:田中宏樹)