大社 ミラクル劇勝!93年ぶり8強 馬庭149球完投&V打 延長十一回死闘制した!
「全国高校野球選手権・3回戦、大社3-2早実」(17日、甲子園球場) 大社(島根)はタイブレークの延長十一回に馬庭優太投手(3年)のサヨナラ打で早実(西東京)を下し、同校初の甲子園1大会3勝で93年ぶりの夏8強を決めた。 【写真】甲子園観戦の清宮も母校の激闘に大興奮 「むちゃくちゃ勝利への執念感じた」内野手5人シフト 馬庭は泣いていた。信じられない奇跡が連発した2時間40分の死闘。「野球って最高だなと思いました」。劇的勝利の直後、心の底から出た言葉だった。 幾度の試練を乗り越えた馬庭へ、最後に野球の神様からのプレゼントが待っていた。同点で迎えた延長十一回無死満塁。2度のタイブレークを無失点にしのぎ、1人で149球を投げきったエースに打席が回った。「絶対真っすぐが来ると信じていた。今まで打ったヒットの中で一番気持ちよかった」。捉えた白球はピッチャーの足元を抜け、サヨナラの中前適時打となった。 1点を追う九回は相手の失策で出塁。無死一、三塁からスクイズで同点のホームを踏み、泣いた。「自分が幸せだなと」。投げては延長十回タイブレーク無死一、二塁から、味方が2度、送りバントを阻止して無失点。また涙が流れた。疲労で足が震えて向かった延長十一回は無死一、二塁から三ゴロ併殺。「いろいろ奇跡が重なった。僕の後ろには味方がいる」。馬庭中心に次々と巻き起こるミラクルプレー。アルプスの大応援団の地鳴りのような声援も後押しとなり、1931年以来93年ぶりの8強、同校初の甲子園1大会3勝を手にした。 抑えれば土をたたき、叫び荒らした。「もう気持ちなんで、自分が何やってたかわからないです」と笑う。ゲームセットの瞬間は優しい目で空を見上げた。「見守ってくださってありがとうございます、という気持ちで天を見ました」。学校から約3キロの場所にある、必勝祈願も行った出雲大社の神様に、奇跡の勝利を報告した。 「疲労は全く感じない。次も投げたいです」。ベンチ入り20人中19人が島根県出身の地元集団。“大社旋風”はまだまだ止まらない。 ◆馬庭 優太(まにわ・ゆうた)2006年5月9日生まれ。18歳。176センチ、81キロ。島根県出雲市出身。左投げ左打ち。小学1年から高松スポーツ少年団で野球を始め、出雲北陵中学時代は軟式野球部に所属。大社では2年夏からベンチ入り。50メートル走6秒9、遠投90メートル。