過去には信じがたい交際費が飛び交ったことも…いい医師には営業が少ない、その「納得の理由」
いい医師、いい病院とそうでない医師、病院を見分けるのは難しい。インターネットにころがる情報を見ても、何が正しくて、何が“怪しい”ものか判断することは困難だ。 【一覧】医者が明かす「痛い死に方ランキング」ワースト50 筆者は数年前までMRと呼ばれる、病院やクリニックに出入りする、いわゆる医薬品の営業をしていた。その経験から、病院に訪れ、廊下で待機するMRの数がいい医師、いい病院を見分ける指標になるのではないかと考えた。 前編『受診時間はたった3分になることも…悪い病院には「スーツ姿の人間」がいるその納得の理由』で説明したように、医師がMRとの面会に時間を割くことに疑問があった。
MRが「プロパー」と呼ばれた驚愕の時代
患者との時間を割いてまで、医師がMRと面会するのには理由がある。その背景は、MRの歴史にさかのぼる。 「医薬品等の製造販売後安全管理の基準に関する省令(GVP)」(厚生労働省令第135号)によると、MRは「医薬情報担当者とは、医薬品の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問すること等により安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者をいう」と定義されるが、その内実は異なっていた。 MRの前身となった「プロパー」が生まれたのは1912年のことで、「プロパガンダ」からその名称がつけられたと言われている。そのプロパーが行っていたのは、医師に対する過剰な“接待”だった。 彼らに専門的な知識や資格はなく医師への接待を主に仕事とする、世間が想像する営業マンらしい仕事を行っていたこともあったのだ。 そこでは信じがたい金額の交際費が飛び交い、学会に参加する医師の宿泊先と交通手段の確保や、果てはかばん持ちもすることもあったという。 医薬品の品質や有効性・安全性とは無関係な処方により薬害に発展するということもあり、世間的にもこうした行為は批判を呼んだ。1991年以降、製薬業界に関するさまざまな法令やプロモーションコードが整備され、今では業界のそうした風潮は多少改善された。 接待を中心とする医薬品のプロモーション活動ではなく情報提供や情報収集を中心としたものへと業務内容も変わったとされている。