震災後の観光の起爆剤に 福島県「リアル宝探し」で20万人超集客
福島県が県内全域で開催しているイベント「リアル宝探し」の参加者が、7月末に開始4ヶ月で20万人を突破したことがわかった。人口約200万人の福島県。東日本大震災後は県外からの訪問者が減る中、「リアル宝探し」が震災後の観光客誘致の起爆剤になるのではないかと期待が高まっている。
年々参加者が増加「1回やるとやめられない」
福島県で開かれている「リアル宝探しイベント」は「コードF-5~福島に咲く神の花伝説~」。県内30市町村に隠された「宝箱」を、参加者が各地で謎を解きながら探していくイベントだ。全部クリアするのには2カ月がかかるというが、一部のみの参加も可能。福島県は2011年からの過去5回(今回含む)の開催で、計42万人を超える参加者を集めている。 「リアル宝探しイベントin福島」を開催した経緯について、県観光交流課の平山知宏さんは、「震災直後で、子どもが楽しめるものを企画したかった」と話す。最初は手探りで始めたこのイベントだったが、1回目は1万2千人、2回目は4万1千人、前回は13万2千人と、回を追うごとに参加者が増えていった。「1回参加すると、やめられなくなるくらい楽しみになって次も参加してくれる。次第に参加者が増え、止める理由が見当たらない」と手応えを語る。平山さんは「地元の反応がすごくいい。普通人が来ないところまで人が来ている」といい、震災後に苦しんだ地元の活性化に役立っているという。
大人も本気になる低コストな「リアル宝探し」
イベントを企画したラッシュジャパン(東京都江東区)の齊藤多可志社長によると、「リアル宝探し」は、大人が本気になって楽しめる謎解きを目指している。子どもと参加しているうちに夢中になる大人も多いといい、昨年は全国で160万人が参加したという。人気ロックバンドGLAYのボーカルTERUさんもプライベートで夢中になり、故郷の函館でライブを行うのにあわせて、観光協会とともに「GLAYと宝探し」というイベントを開いているほどだ。 このリアル宝探しは、全国各地のテーマパークの集客や地域のまちおこしに活用されている。長崎県のハウステンボス、愛知県の明治村といったテーマパークにとっては、ジェットコースターを作るよりはるかに低コストで集客できる。地域おこしも、大掛かりな施設を作るよりも低コストで多くの人が集められ、熱中した人がまたリピーターとなって参加してくれるのだという。