【J2いわきFC 2季目の成果】(上) 終盤まで昇格PO争い
サッカーJ2いわきFCが同リーグでの2季目を戦い終えた。昨季はJ3降格も危ぶまれたが、今季は終盤までJ1昇格プレーオフ(PO)争いに絡むなど躍進。ホーム戦の観客数も過去最高を記録した。今季の戦いぶりを振り返りながら、来季への課題を探る。 今季のリーグ戦開幕前、サッカーメディアなどで示されたいわきの下馬評は低かった。MF岩渕弘人(J2ファジアーノ岡山)やMF宮本英治(J1アルビレックス新潟)ら攻守で主力を担った選手を中心に17人が移籍したからだ。 ほぼ一からチームづくりを余儀なくされた中で力を発揮したのが、古参の選手たちだった。特に5年目のFW谷村海那はエースストライカーとして覚醒。得点王は逃したが、リーグ2位の18得点でチームを引っ張った。同じく5年目のMF山口大輝は中盤において攻守で存在感を発揮し7ゴールを記録。最古参で6年目のMF山下優人もスタメン起用が多く、安定したパフォーマンスを見せた。
田村雄三監督が昨季の課題に挙げた失点の多さも改善し、開幕前の目標45失点をクリアする41失点で終えた。要因の一つは選手が90分を通じてハードワークできたからだ。今季はメジャーリーグで指導経験のある友岡和彦さんがコーチに就任した。これまで取り組んできたパワー向上の筋力トレーニングにスピードの視点を加えた。測定器を体に着けて重さや回数だけでなくスピードも計測するなど、よりサッカーで生かせる体づくりに取り組んだ。 スプリントコーチとして「走り」の鍛錬を担当した秋本真吾さん(大熊町出身)も「オフシーズンから強度の高いトレーニングを課してきた」と話す。選手それぞれの最高速度に対し、毎月の平均最高速度がほぼ全員95%以上を記録するなど年間を通して高いパフォーマンスを維持。MF山口は「試合終盤で足をつることがほとんどなくなった」と効果を実感する。 一方、目立ったのがリーグ終盤戦の失速だ。対戦相手の対策が進む中、決定機をつくりながら得点できず、逆に先制を許した試合で勝利できなかった。開幕前に65得点を目標に掲げていた田村監督は今季最終戦の後、「失点が減ったというより、65得点できなかったのが来季の課題だ」と指摘した。J2上位陣やJ1との力量差も実感したといい、「プライベートも含めてプロらしくやるべきことをやる選手」を育てる方針だ。