特養で虐待・介護放棄15件 家族に虚偽説明、滋賀県が運営法人処分
特別養護老人ホームで15件の虐待やネグレクト(介護放棄)を繰り返したうえ、隠蔽(いんぺい)したとして、滋賀県は22日、社会福祉法人「すみれ厚生会」(同県栗東市)に対し、介護保険法に基づき、運営する2事業所での新規利用者の受け入れ停止処分にしたと発表した。期間は5月1日から1年間。被害を受けた利用者は少なくとも12人という。 事業所は、特別養護老人ホーム「野洲篠原すみれ園」(同県野洲市大篠原)と「ショートステイ野洲篠原すみれ園」(同)。 県によると、昨年4月、特別養護老人ホームの職員による利用者への暴言を虐待と認定し、野洲市が行政指導した。虐待を確認したら速やかに県や市に通報するという内容で、前施設長(50)が誓約したという。 しかし、その後も昨年4~10月、内出血ができるほど顔や頭をたたく身体的虐待や、介助を頼んだ利用者への「あなたのからだが悪いんだ」といった暴言、ネグレクトが計15件確認されたという。前施設長は県や市に通報せず、利用者の家族には「ベッドに自分でぶつけた際の内出血」などと事故が原因であると虚偽の説明を職員にさせたという。虐待をした職員は少なくとも3人という。 前施設長は昨年秋ごろ代わり、その後、虐待は改善したという。施設側は、県警守山署に相談している。 県が今年1月から2月に施設へ聞き取った。虐待に関わった職員は「余裕のない職場環境で感情のコントロールが出来ていなかった」などと話したという。 運営する社会福祉法人「すみれ厚生会」(前田章理事長)の担当者は「対応を協議中で現在のところ何も答えられない」とコメントした。(林利香)
朝日新聞社