あなたの知らない札幌《市中央図書館》後編 90万冊の3分の2は読めない?
【北海道・札幌】人口200万人の声も聞こえる北の大都市・札幌。その札幌には、多くの観光地や名物施設があります。とはいえ、札幌市民ですらそれらのすべてを知っているわけではありません。そこで不定期連載として「あなたの知らない札幌」と題した企画をスタート。第3回後編は、90万冊近い蔵書を誇る札幌市中央図書館(札幌市中央区)の秘密を千葉真館長に聞きました。(構成/橋場了吾) 【写真】あなたの知らない札幌《市中央図書館》前編 ネットと書籍の“限界”を補完
地下に厳重保管、依頼すれば閲覧可能
札幌市40図書施設の中心にある札幌市中央図書館には90万冊近い蔵書があるのですが、一般の利用者が入れる1階・2階には35万冊ほどしか置いていません。実は、残りの3分の2は地下に保管しています。 とはいえ、地下の蔵書が読むことができないわけではありません。データベース上には出てきますので、受付で依頼すればすぐに地下からお持ちしますし、インターネットやほかの施設での貸出も可能です。 なぜ3分の2の蔵書が地下にあるのか。それは、すべての蔵書を出してしまうと、利用者の混乱を招いてしまうというのが一つ、そして貴重な蔵書については大事に保管しなければならないというのがもう一つの理由です。実際、地下の蔵書を出してくると「こんなに厳重に保管されている本であれば、汚してしまうのがイヤなので借りられない」と断ったお客さんもいるほどです。 公共図書館として、そして地域図書館として、実用書・小説はもちろんですが、エンターテインメント要素の強い雑誌や地方独自の雑誌もできる限り保管しています。さらに、戦前から刊行されていた雑誌など貴重な資料も多数あります。 例えば、「文藝春秋」や「改造」のように、太平洋戦争をまたいで刊行されていた雑誌を順に並べると、戦況が厳しくなるにつれ、どんどん紙質が悪化てしページ数が少なくなっていくことが分かります。そして、戦後5年くらい経つとまた元気になってくる……。時代を切り取るだけでなく、流れもわかるのが図書館ならではの魅力だと思います。