王者ネリの減量失敗の失態は山中慎介との世界再戦にどんな影響を及ぼすのか
最近では、昨年5月に比嘉大吾(白井・具志堅)がWBC世界フライ級タイトルを獲得した試合で、王者のファン・エルナンデス(メキシコ)が体重超過で失格、王座を剥奪され、具志堅用高会長が激怒、結果、6回TKOで比嘉が新王者となった。 海外では元WBA世界Sフェザー級王者の内山高志氏に連勝して引退へ追いやったジェスレス・コラレス(パナマ)が昨年10月に米国で行われた同級のスーパー王座戦で体重オーバーにより失格となり、試合もアルベルト・マチャド(プエルトリコ)に敗れた。ちなみにコラレスは内山氏との最初の試合でも計量超過、再計量でクリアするミスを犯していた。 では、今回のネリは、どのパターンにあてはまるのか。 ネリは、昨年8月に山中を4RにTKOで下してベルトを奪ったが、その後、ドーピング検査での薬物疑惑が発覚した。調査したWBCは「確証を得られなかった」と薬物使用については不問としたが、山中との再戦を義務付けた、そして、その際、声明として山中との再戦前には、ネリの食事メニューをWBCの責任医師がチェックすることや、試合までの6か月間の間、VADAによる厳しい検査を実施することも併せて発表されている。そのため今回は、栄養士をつけて、減量と食事メニューの指導を仰いだようで、それが減量の失敗理由だという。栄養士もメディアの取材に対し自らの責任を認めるような発言をしている。 当日朝で3キロオーバー。午後1時過ぎの計量で2.3キロオーバー、2時間動いて1.3キロオーバーという時間の経緯と体重の減り方を見ると確信犯的にも見えるが、ネリ陣営の完全な管理ミスだったという可能性も否定できない。そうなるとネリのコンディションや試合に臨むモチベーションをどう判断するかも難しい。 そして王者の減量失敗による影響として不安材料となるのが山中の心理状態だ。計量秤に乗ったとき、山中は凄まじい形相で一度目の計量に失敗したネリを睨みつけ「ふざけるな」と吐き捨てた。 2度目もリミットを切れず、失格となった瞬間を見届けた後は、きわめて冷静に「この試合にかける思いは強かった。両者ともに万全のコンディションでやりたかった」と語ったが、その悔しさと怒りに揺れる心中は、想像に難くない 「最後。この一戦に賭ける」