京都名物「いけず石」どこにあるの、なぜあるの 「京都らしさの象徴」大調査へ投稿呼びかけ
京都大などの研究チームが、車から家屋を守るために置かれている「いけず石」の京都市内版の地図を作成する取り組みをスタートした。いけず石の有無と景観写真などのデータをひも付けし、いけず石の設置と道路の幅などとの相関関係を調べるという。スマートフォンの調査アプリを活用して情報を集めており、市民に協力を呼びかけている。 【写真】これが京都名物「いけず石」 いけず石は、細い道が交わる交差点の角などに置かれている。自動車の普及とともに増えたとされ、京都市内では見慣れた光景になっている。 調査を始めたのは、京大文学研究科の埴淵知哉准教授。都市地理学が専門で健康と歩きやすいまちづくりとの関係などを研究している。「地域らしさ」を可視化する地図づくりにも取り組んでおり、京都の日常に溶け込んだいけず石に着目。「どこにあるのか、なぜあるのか、についてデータ分析し、京都らしさの一端を描き出したい」と意気込む。 今回の対象地域は上京、中京、下京の各区で、約4800カ所の交差点について情報を募っている。デジタル地図事業を手がける「ジオテクノロジーズ」(東京都)との共同研究で、同社の提供するアプリ「ジオクエ」を活用。市民にはアプリで「京都のいけず石の写真を撮ろう」との題を検索し、地図に示された各交差点のそれぞれの角をスマホで写真に収め、投稿してもらう。 収集した大量のデータを基に、道路の幅員や一方通行などの道路特性と、いけず石の設置との関係を分析。特にいけず石の多い地域があれば、学生と一緒に地域住民を訪ねて設置の背景などを聞き取り調査することも検討している。 今回の調査は、市民と一緒に研究を進める「シチズンサイエンス」の手法を採用した。埴淵准教授は「スマホの地図が普及し、20年前と比べ街中で道を聞かれることはほぼなくなった。人々の方向感覚や地図への意識に変化があると感じており、デジタルツールを活用してリアルな道の感覚を取り戻す機会につなげたいとの思いもある。多くの方と一緒に新たな視点を発見したい」と話している。