上司との1on1ミーティングで言いにくい問題を提起する方法
■ステップ4:冷静さ、好奇心、適応する意欲を示す 会話を進める際には、できる限り冷静さを保ち、あなたが特定した核となるニーズを誠実に、整理して伝える。上司に助けを求めているのか、それとも単に重要なことを伝えるだけなのかをここで明確にする。口調には引き続き気を配る。 意見を伝えた後は、上司の反応に注意深く耳を傾ける。好奇心を持ち、突っ込んだ質問や明確な質問をすることで、あなたの関心を示す。素晴らしいフォローアップの質問は、シンプルに「詳しく教えてください。それはなぜですか」というものだ。上司の断定的な答えの背後にあるものを明確にすることができる。たとえ上司の意見に同意できなくても、相手の考え方を認める。ネガティブな感情はコミュニケーションの断絶を招きかねないので、ポジティブな姿勢を保ち、見解の一致に向かうことに集中する。 事前に解決すべき問題を提示していた場合は、解決策を考えてミーティングに臨む。上司に問題を伝える際に解決策の候補を用意しておくと、より有能であると見なされることが研究で明らかになっている。提案する解決策が完璧である必要はないが、それを準備しておくことが、あなたの積極性と問題を克服することへの熱意を示す。 心理学者は、援助要請を主に「自律型」と「依存型」の2つに分類している。依存的援助要請は、「手っ取り早く簡単な」解決策を提供してくれる人を探すもので、自律的援助要請とは、個人が独自に課題に取り組み、自立するための知識を追求することだ。あなたが目指すべきは後者だ。自律的援助要請の行動は肯定的な職務遂行能力の評価につながり、依存的援助要請の行動は否定的な評価につながるという研究結果もある。 上司があなたの提案した解決策の修正を勧めた場合は、進んで適応し、合理的な妥協をすること。このプロセスを通じて忍耐と粘り強さを保つことが、あなたと上司を互いに望ましい解決へと導く。 ■ステップ5:勢いを維持しながらまとめる ミーティングを終える際には、話し合いで築いた勢いを維持することが大切だ。ミーティング中に上司に支援を要請した場合は、アクションアイテムを確認し、両者の次のステップを明確にする。たとえば、ゴードンは上司とのミーティングの終わりに、こうまとめることができる。「では、私は話し合ったテクニックを使ってエレンと話をしますので、ほかのチームメンバーにフォローアップをし、さらなる問題がないか確認をお願いします」。そして、ミーティングをポジティブな雰囲気で終わらせるために、相手が時間を割き、あなたの意見に理解を示してくれたことへの感謝を再度伝える。 ここまで見てきたように、1on1ミーティングで上司に難しい話題を提起するには、慎重な計画と実行が必要だ。しかし、その努力に見合うだけの見返りがある。上記のステップを踏むことで、上司との困難なコミュニケーションを乗り切り、望ましい成果に向かう準備が整う。それだけではない。この5つのステップは、みずからが自分自身の擁護者になる方法、つまりキャリアを重ねる中で自立と成長を維持する方法を示している。 "How to Raise a Difficult Issue in a One-on-One with Your Boss," HBR.org, January 09, 2024.
スティーブン G. ロゲルバーグ,ジョン・グレイ