小池知事が陳謝、都民との約束「無害化」 豊洲移転の課題に
市場全域の無害化は「難しい」
だが「無害化」の達成は簡単ではない。豊洲市場における2年間の地下水モニタリング調査の終盤には、環境基準の100倍のベンゼンが検出された。盛り土がなされていなかった豊洲市場の安全性を検証する「専門家会議」は「陸上部分は科学的に安全だが、地下部分は対策が必要」と結論づけたが、平田健正座長(放送大学和歌山学習センター所長)が、市場全域で土壌も地下水も環境基準以下にするのは難しく、時間がかかるとの認識を示している。 市場移転問題に関する論点整理を行う「市場のあり方戦略本部」では、16日の会合で、「無害化」は現時点で達成できていないと認めつつ、地下水管理機能の強化など専門家会議が提言した追加の土壌汚染対策を行うことで、地下水の水質を「中長期的に改善していく」とした。 ただ、有識者による「市場問題プロジェクトチーム」(PT)は、報告書の中で、豊洲に移転するなら、いまだ実現できていない「無害化」を開場条件から外さなければならないと指摘。都民や市場関係者に対し、無害化に代わる新たな「安心・安全」の基準と、多額にのぼる土壌汚染対策費を支出する正当な理由の説明が求められると提言している。 豊洲市場に移転する場合、都民との約束になっていたこの「無害化」方針をどう扱うかが課題になる。16日の定例会見で、無害化を堅持するのか問われた小池知事は、都の方針について明確な回答はしていない。 PTの小島敏郎座長(青山学院大学元教授)は、13日の報告書提出後の会見で「『付帯決議』と『無害化3条件』をどう変えて、どう説明するのかと言う課題が残る。これが豊洲の問題」と指摘した。 (取材・文:具志堅浩二)