高橋一生、『ブラック・ジャック』もハマり役の予感 森下佳子とのタッグで確実に成功?
手塚治虫の名作医療漫画『ブラック・ジャック』が高橋一生主演で24年ぶりにドラマ化される。医療漫画の金字塔と称される本作は、1973年11月19日に『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載が開始。50年の節目を迎え、生成AIを活用した新作漫画の制作や連載50周年を記念した作品にまつわる展示など、興味深いプロジェクトが展開されてきた。 【写真】不可能と言われた実写化を成立させた高橋一生の岸辺露伴 そして、2023年の年末になってテレビ朝日によるテレビドラマ化が発表された。「医療とは何か」「私たちは医者に何を求めるのか」などの問いに対しても、コロナ禍を経た今、その答えはさらに複雑なものとなっている。今回のドラマ化では、原作から厳選したエピソードを凝縮して映像化するようで、原作のテーマやキャラクターの魅力が観る側の心に刺さる仕掛けが施されているのではと期待が高まる。 何よりも、主人公のブラック・ジャックを演じるのが高橋一生だということに注目したい。医師免許を持たない天才外科医のブラック・ジャックは驚異的な手術によって死の危機にさらされた患者の命を救うが、その代価として莫大な治療費を請求する。医師としての豊富な知識と確かな判断力を備え、その見事なまでの活躍が描かれてはいるが、彼は無免許のアウトロー。不可能を可能にする神業としかいいようのない奇跡のような手術で患者を助けつつ、お金に関してはシビアで冷酷な表情を見せる。 多面的で葛藤を抱えるがゆえ、単純な分かりやすいヒーローとは一線を画すブラック・ジャック。時代を超えて多くの人の心をつかんで離さない魅力あふれるキャラクターに高橋一生はどう挑むのか。 公開されたポスターからも制作側の本気度が伝わるが、本作の人物デザイン監修・衣装デザインを担当するのは柘植伊佐夫。柘植はNHK大河ドラマ『龍馬伝』『どうする家康』をはじめ、NHKドラマ『精霊の守り人』シリーズ、映画『シン・ゴジラ』、映画『飛んで埼玉』など数々の作品を手がけ、24年前にTBS系で放送された2000年版の本木雅弘主演『ブラック・ジャック』でもヘアメイクデザインを担当している。 そんな柘植が手掛けた数々の作品の中でも、柘植と高橋のタッグだからこそ成功に導けた作品がNHKドラマ『岸辺露伴は動かない』ではないだろうか。2020年から2022年にかけて3年連続で年末に3夜連続放送されいた『岸辺露伴は動かない』。2023年は映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の公開があったが、年末には露伴に会えるという楽しみが今年はなかったぶん、2024年放送の『ブラック・ジャック』のドラマ化の発表にネット上も大いに湧いた。 今回、高橋はブラック・ジャックを演じることでさらに原作を読み込み、丁寧に役柄と向き合っていることがコメントからも伝わる。歴史ある作品で、多くのファンそれぞれの心にブラック・ジャック像が大切にされていることを念頭に置きながら、自分の芝居をしていくことの難しさ。自分自身が納得し、許せる瞬間を求め、常に厳しい視線で芝居を模索しているという高橋。「観てくださる皆さんも是非厳しい目で観ていただき、願わくば楽しんでいただけるとありがたいと思います」という言葉を寄せている。 そして、本作は脚本を森下佳子が手がけるというのも気になるところ。高橋一生と森下佳子はNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』、TBS系日曜劇場『天国と地獄~サイコな2人~』などでもタッグを組んでいる。とくに『おんな城主 直虎』で高橋が演じた小野但馬守政次の最期は壮絶で、井伊家を守るために裏切り者として一人で罪を被り、磔の刑になり絶命した。あまりにも悲しく、衝撃的なシーンだったため、大河ドラマファンの間では今でもそのシーンが語られ続けられている。 本作に関しては、手塚プロによる綿密な監修のもと、現代設定も取り入れつつ、入念に物語を紡いでくれるという。岸辺露伴を演じ、その世界観を新たに作り上げることに成功した高橋一生が、ブラック・ジャックとして私たちに何を問うのか、何を見せてくれるのか。放送される日が待ち遠しい。
池沢奈々見