2024年はこの本を読め!
日本橋浜町で、ブックカフェ「ハマハウス」を運営する、グッドモーニングス社代表の水代優さん。写真(上)にあるように、カフェに並ぶ本は、全て水代さんがチョイスしたものという「本好き」です。今回は、昨年、水代さんが読んで「イチ押し!」と思った本を紹介してくれます。 圧倒的1位「黒い海」 大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品をナンバーワンにするのは若干気が引けるのですが、面白すぎるので、これしかないと思います。 著者の伊澤さんは1979年生まれで、僕と同世代です。英国の大学でジャーナリズムを学び、現地の新聞社などで勤務した後、フリーのジャーナリストになりました。 本書の解説に「本書は実話であり、同時にミステリーでもある」という通りの一冊です。2008年、太平洋で停泊したいた中型漁船「第58寿和丸」が突然、沈没します。近くには僚船もいました。結果として17人の犠牲者がでる大惨事になりました。 事故の調査報告では、船員の杜撰な管理と、大波によって転覆し、沈没されたとされました。一方で「二度の衝撃を感じた」という生存者の証言は無視されました。「第58寿和丸」は5000メートルの海底に沈み、真相は「藪の中」となっていた中で、伊澤さんが取材に着手したのです。 僕は、元々調査報道モノが大好きで、潜入ルポも好きです。震災後、福島県のいわき市にも通っていたのですが、この事件のことは知りませんでした。まさに読書の悦び! というか、知らない世界を見せてくれる展開に、ページが止まりません。 しかも、伊澤さんは、本書がデビュー作。間違いなく言えるのは、伊澤さんが本を出すたびに必ず買うと断言できるくらいのファンになりました。 2位、次点『妻の実家のとうふ店を400億円企業にした元営業マンの話』 そういう括りでいいのかどうかは一考の余地がありますが、2023年ダントツ1位のビジネス本だと思います。 会社を経営する上で、みんなを引っ張っていく上で、この上なく、大事なことが散りばめられすぎてます。前年比や減価率には決してとらわれない。そして何より燃える集団を作ることの重要性とか、バンバン心に入ってくる本です。 僕自身も経営は、掛け算割り算(なんとか率とか、なんとか比)より、足し算、引き算(足したものを引いて、残ってれば良い!)だと思っています。 タイトルを見ると???と思ったのですが、読んで良かったと心から思います。 もともと、雪印乳業で営業マンをしていた著者の鳥越さんは、奥さんの実家である群馬県の豆腐メーカー「相模屋食料」に転職します。目にした方もいると思いますが、機動戦士ガンダムの「ザクとうふ」を開発した人といったほうが分かりやすいかもしれません。どのようにして、20年で売上を23億円から400億円にしたのか、ぜひ読んでみてください。