「他の鉄道ファンとは比べものにならない」……鉄道マンが頭を抱える「引き起こすトラブルのレベルが違う」ファンの正体
沿線で撮影する撮り鉄はマナーを守って
運転士を務めたこともあるC氏は、「500億歩譲って、ホームで撮影する撮り鉄は、少なくとも入場券は買ってくれているので、まあ……いいか……と思うけれど。列車を利用せずに沿線で撮影している連中は、犯罪に抵触している可能性があるうえ、運転の邪魔になるような迷惑行為が多すぎる」と、撮り鉄に怒り心頭の様子だ。 「フラッシュをたきまくるのは論外ですし、線路わきギリギリの場所に三脚を立てて撮影したり、踏切が鳴り出しても一向にどかずにカメラのファインダーを覗き込む撮り鉄がいる。命が惜しくないのでしょうか……。なにより、こういった撮り鉄が線路に飛び出してくるんじゃないかと、ハラハラしながら運転しているんです」 C氏は、大きめの草刈りばさみを持った撮り鉄が、線路脇の草藪の中からいきなり出てきた時には「チビるかと思った」という。 「そこは絶対に私有地だし、無許可で入って、撮影のために草でも刈り取ったんじゃないか。列車の写真を撮るためにそこまでするのか、と唖然としました」
趣味で周りに迷惑をかけてはいけない
さて、そこまでして撮影した写真はいかほどのものなのだろうか。XなどのSNS上には、撮り鉄が撮影した写真が掲載されているが、鉄道写真家のD氏は、撮り鉄が撮影した写真をこう評価する。 「撮り鉄って、有名な写真家が撮影したお手本と“いかに同じように撮影できるか”を競っているんですよ。実際、ほとんどの写真が、有名撮影地で撮ったりした、どこかで見たことがある写真と同じ構図だったりするのです。その一方で、機材には金をかけて、100万円以上する高級レンズを持っている撮り鉄は普通にいて、“機材マウント”をとったりする人もいます」 プロの鉄道写真家と撮り鉄は、まったく別物であるとD氏は言う。そして、こう付け加える。 「彼らの写真は究極の自己満足。もちろん商業写真ではなく、あくまでも趣味の写真ですから、それでもまったく問題はないのです。ただ、趣味のために鉄道会社や沿線の住民に迷惑をかけるのは、いかがなものでしょうか。褒められたものではありませんよね。鉄道ファンのイメージを悪くする行動はくれぐれも慎んでいただきたいものです」 ライター・宮原多可志 デイリー新潮編集部
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