クルマを買うとき、「ヨーロッパ人」は何を重視しているのか? 日本人と同じかそれとも違うのか、頭の中を覗いてみた
どこからリサーチを始めるか
英国人に「車を選ぶとき、どこからリサーチを始めますか」に対しては、 男性は、 ・車種(59%) ・燃料の種類(42%) ・予算(35%) ・メーカー(23%) ・モデル(10%) 女性は、 ・車種(58%) ・燃料の種類(40%) ・予算(32%) ・メーカー(25%) ・モデル(17%) という回答だった。モデルを選択した女性が男性に比べて目立ったたが、順番にしても割合にしても男女それほど違いはない。 英国が「車種」を男性59%、女性58%と重要視しているのに対し、ドイツはそれらが男性34%、女性15%とあまり重視していない。スペインも男性33%、女性26%と低い。英国より高い割合なのは、予算について、英国女性が32%に対し、ドイツの女性が37%、スペイン女性が34%であることくらいだ。スペインに至っては、メーカーを重視する人が男女ともに0%というのも非常に特徴的といえるだろう。 なお、EVなのかハイブリッドなのかガソリンなのかといった「燃料の種類」については、どの国でも男性の方が多い。「車種」「スタイリッシュデザイン」についても、女性よりも重要だと回答している。 以上から、男性は、車の外観や、燃料の種類といったように、車を機械として好きな印象がある。女性は、車を移動するための手段に見ている感じを受ける。
日本の場合
まったく別の調査になるが、日本ではホンダが、男女各500人に対し、今乗っている車の購入の決め手になったものを聞いている(2021年3月16日付)。 男性は、 ・価格(60.2%) ・ボディのタイプ(40.6%) ・燃費の良さ(40.6%) ・運転のしやすさ(38.0%) ・乗り心地(32.0%) ・外装デザイン(32.0%) ・室内の広さ(30.6%) ・安全性能(29.4%) ・メーカーブランド(29.4%) ・ボディの大きさ(27.8%) だった。女性は、 ・価格(61.6%) ・運転のしやすさ(54.4%) ・ボディのタイプ(52.2%) ・燃費の良さ(46.0%) ・乗り心地(38.0%) ・安全性能(35.6%) ・ボディの大きさ(32.2%) ・メーカーブランド(31.2%) ・外装デザイン(30.6%) ・室内の広さ(29.4%) だった。日本の女性は、運転に苦手意識を抱いている人が多い。「運転のしやすさ」はもちろんストレートな表現だが、「ボディの大きさ」が大きすぎると運転しづらい。ボディタイプも軽自動車なのか、スポーツタイプ多目的車(SUV)なのかなど運転のしやすさに影響する。 車は男性の体格をベースにつくられているので(軽自動車はそうでない可能性もある)、「乗り心地」も気になるし、エアバッグ、自動ブレーキ、レーンキープなどの「安全性能」もきちんとチェックしたいという気持ちが伝わってくる。日本の男性は、運転が好きだったり、得意と感じている人が多いので、「運転のしやすさ」はそこまで気にならない。 それにしても、どの国も、結局「価格」が気になるというのは、買い物の基本であるものの、景気の悪さを表しているような気がしてならない。
鳴海汐(国際比較ライター)