渋野日向子最終18番までV争い3位で見えてきた賞金1億円突破!
プレーするより考える時間が長く、メンタルスポーツの最たる競技と言われるのがゴルフである。精神的な比重がどの競技よりも重く、ふとしたことがきっかけで調子を崩し、姿を消していった選手は、過去に何人もいる。 そこから立ち直って6月末の「アース・モンダミンカップ」で4位に食い込み、7月4日からの「資生堂レディス」で優勝、そして全英女子での優勝につなげるわけだが、今回の凱旋後に、再び燃え尽き症候群に陥る危険性も孕んでいた。 だが、彼女は、「笑いたいときに笑う。そこは全然気にしない。シンデレラじゃないし」と、加熱する“シブコフィーバー”を自然体で受け流すメンタルの強さを身につけていた。 ぶれないショット、強気のパット、そしてミスした後に取り返す「バウンスバック」、バック9の強さなど、自らの長所を凱旋帰国の2戦で鈍らせることはなかった。 3日間とも60台で回り、6月の「ニチレイレディス」初日から続く連続オーバーパーなしラウンドも全英の4日間を含めて28ラウンドに伸ばした。国内ツアーに限ると24ラウンド連続で歴代2位タイ。さらに今大会で計18個のバーディーを奪い、今季の平均バーディー数は3・7656となり全体の1位に躍り出た。 渋野は逞しく成長していたのである。 この大会の3位の賞金は520万円。これで渋野の今季の獲得賞金は8479万4,570円となり、現在獲得賞金レースでトップを走る申ジエ(31、韓国)の9892万1332円を約1400万円差で追い2位をキープしている。2004年に19歳で年間1億円を稼いだ宮里藍に次ぐ、史上2番目の若さでの大台到達を射程内にとらえ、ツアー史上初の本格参戦1年目、史上最年少となる賞金女王の可能性が見えてきた。 「今の目標は1億円。次の目標を立てるためにも早く突破したい」 渋野は、23日から神奈川で行われる「CATレディース」には出場せずに故郷・岡山に帰って休養に充てる。完全オフだ。次戦は、29日に北海道の小樽カントリーで開幕する「ニトリレディス」となる予定。渋野が得意とする4日間の大会で、優勝賞金は1800万円。凱旋帰国3戦目で勝てば悲願の賞金1億円突破を果たすことになる。 賞金女王獲得への不安要素は、試合をこなす毎に異常に盛り上がっていく周囲の喧噪。 「静かに生きていたかった」とプライベートの時間がなくなったと嘆くが、有力候補となっている来年の東京五輪まで、メディアのフィーバーは続くだろう。ビッグマネーを生む“人気商品”となった渋野に群がってくる人たちを関係者たちがどうさばくか。今回、古閑美保などが所属するマネジメント会社と契約したが、周囲の、これまで通りの変わらないサポートが渋野の賞金女王獲得、東京五輪で金メダルという2つの夢を叶えるための重要なポイントになってくる。