横浜DeNAが連敗脱出。キヨシ監督は「攻めダルマの気持ちで戦った」
この日、巨人の終身名誉監督である長嶋茂雄氏が観戦に訪れていた。 連敗中、恩師と慕う、そのミスターから激励の電話をもらった。 「長嶋さんが、監督勇退会見で、『野球は人生そのもの』という名言を残したけれど、序盤は、あまりにも幸せな人生を歩みすぎたね。天国と地獄。そんなに簡単じゃないぞって教えられている気がする」 中畑監督にとっても、気持ちを切り替えることのできるメッセージだった。 6回の凄みを感じさせるような采配の裏には、ミスターの激励があったのかもしれない。 2点のリードを6回から田中、モスコーソ、エレナのリレーで守る。中継ぎ強化のため先発から配置転換したモスコーソは、20日の広島戦で失敗していたが、再び7回に投入した。先頭の村田に二塁打を許したが、後続を斬った。9回には、梶谷のタイムリーで貴重な1点を加え、リードを3点に広げておいて、筒香にバックスクリーンに飛び込む23試合ぶりの2ランまで飛び出た。 そして最後は、セーブのつかない点差だったが、“小さな大魔人”山崎が登場。一人の走者も出さずに3人でしめて、12連敗という長いトンネルをついに抜け出した。 試合後、中畑監督は、「ここで(東京ドームの巨人戦)連敗を止めたことには、何か変なものを感じますね。ジャイアンツ戦で、止められたのは、うれしいんですけどね。涙が出るくらいね。全員野球で勝ちゲームを作れたことが、なによりうれしいしね。ファンのみなさんの喜ぶ顔をみたら、勝たないかんとあらためて思いました。(6回?)あそこは、チャンスがあれば、攻めダルマでね、全員がいなくなっても戦うんだ、つぎこんでいくんだという気持ちでした。(筒香の本塁打?)見事だった。すっきりした。あれで連敗のときの気持ちがすーと消えていった」と、安堵の表情を浮かべた。 中畑監督の言う攻めダルマとは、「やまびこ打線」で甲子園で旋風を巻き起こした池田高校の故・蔦文也監督につけられていた呼び名。攻めて攻めて攻めまくる超攻撃野球の総称である。 まるで貯金を大量に作ったときの横浜DeNAが蘇ってきたような快勝だった。 下園は「12連敗もしているので、ひとつ勝ったくらいでは、ぜんぜん取り戻せない。明日絶対に勝てるようにみんなでがんばりたい」と、ナインを代表してここからの再浮上を誓っていた。