UiPath、AIエージェント開発ツールなど、エージェンティックオートメーション関連製品を発表
UiPath株式会社は6日、AIエージェント開発ツールの「UiPath Agent Builder」や、チャットベースのAIアシスタント「UiPath Autopilot for everyone」など、エージェンティックオートメーションを活用した製品群を発表した。 【画像】UiPath プロダクトマーケティング部 部長 夏目健氏 UiPath プロダクトマーケティング部 部長の夏目健氏は、「エージェンティックオートメーションは、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の進化した形だ」と語る。ただし、RPAがなくなるわけではなく、ロボティックとエージェンティックが左脳と右脳のように共存し、協力してオートメーションを作り上げていくことになるという。 「左脳に相当するロボティックは、信頼性と正確性が求められる反復的な作業や、手順が決まった業務に最適だ。一方、右脳に相当するエージェンティックは、柔軟な判断や臨機応変なタスクに対応する。それぞれを組み合わせることで、業務プロセスの自動化が実現する」(夏目氏)。 ■ エンタープライズエージェントを構築する「UiPath Agent Builder」 今回発表した製品のひとつであるUiPath Agent Builderは、開発者向けツール「UiPath Studio」製品群の一部で、ロボットと協調して動作するエンタープライズエージェントを構築するためのツールだ。 まず、プロンプトとしてエージェントの役割や目的、制限などを自然言語で定義し、エージェントが実行可能なアクティビティや自動化プロセス、エージェントの呼び出しといったアクションを指示する。次にコンテキストとして、RAG(検索拡張生成)を利用して社内情報を検索し、自社独自のビジネスルールや専門知識が活用できるエージェントを実現。そして最後に、判断が難しいケースやチェックを人に任せたいケースなど、人の支援を必要とする場合、エスカレーションの相手や方法を指定する。Agent Builderは、12月にプレビューを開始する予定だ。 コンテキストに関しては、RAGをUiPathの機能として実装し、生成AIのハルシネーションのリスクを削減するコンテキストグラウンディング機能も今回日本で正式にリリースされた。PDF、CSV、JSONなどのファイルをアップロードし、UiPathが用意したアクティビティを実行するだけで、RAGを実装した生成AIによる自動化が可能になるというもの。夏目氏によると、今後WordやPowerPointといったさまざまなファイル形式にも対応する予定だという。 このほかにもエージェンティックオートメーションのプラットフォームでは、社内で作り上げたエージェントを管理する「Agent Catalog」や、それをアプリケーションとして展開する「Agent Apps」、業務プロセスを管理する「Agent Service」が新たに登場する予定だ。 ■ AIアシスタント製品も拡張 次に夏目氏が紹介したのは、AIアシスタントのUiPath Autopilot for everyoneだ。これまでにもUiPathは、Autopilot製品群として、開発者向けの「Autopilot for Developers」とテスター向けの「Autopilot for Testers」を7月にリリースしたほか、ビジネスアナリスト向けの「Autopilot for Business Analysts」をプレビューとして提供していたが、今回新たに全従業員向け製品となるAutopilot for everyoneをリリースした。 Autopilot for everyoneは、チャットベースのAIアシスタントで、社内ナレッジを参照した生成AIとチャットで会話し、その内容をベースに次に必要なアクションを提案、日常業務の生産性を向上する。 夏目氏はAutopilot for everyoneについて、「日常業務で利用するさまざまなアプリケーションにアクセスできる機能があり、幅広いユースケースに対応する。また、既存の自動化資産を自ら探索し提案するほか、文書処理においても強力な機能を備え、文書の読み取りや一括コピー&ペーストなどが可能だ。過去のアクションから学習するため、使えば使うほどユーザーにとってより価値のある情報やアクションを提供できるようになる」と説明する。同ツールのモデルには、Anthropicの大規模言語モデル「Claude 3.5 Sonnet」を採用している。 また、Autopilotの機能のひとつとして、自動化ワークフローの自己修復機能「Healing Agent」のプレビューを開始した。これは、UIベースの自動化におけるエラーを自己修復するもので、自動化実行時にUIの変化などでエラーが発生した際に、原因を解析して修正し、解決する。 このほか、UiPathのセキュリティ基盤となる「AI Trust Layer」には、新しく監視と監査機能をリリースした。これにより、Google、Microsoft、OpenAIなど、さまざまな生成モデルを使用する際、それぞれのダッシュボードを個別に見る必要がなくなり、UiPathのプラットフォームで一元的に監視と監査ができるようになるという。 「このようにエージェンティックオートメーションを支えるテクノロジーを幅広く展開することで、ユーザーの自動化を推進していきたい」と夏目氏は述べた。
クラウド Watch,藤本 京子