カントリーが求められる時代に知っておくべき実力者、カーリー・ピアースが語る数奇な歩み
カントリーは今、エキサイティングな時代に突入している
―カントリー・シーンの現状についても伺いたいんですが、近年は様々な人種やセクシュアリティのアーティストが登場したり、多様化が大きく進んだ気がします。活動していてそういう活気みたいなものは実感しますか? カーリー:ええ、すごくエキサイティングな時代に突入した気がするし、デビューから8年になるけど、こんなにも素晴らしいアーティストが揃ったことはかつてなかった。たぶん、曲そのもの良さにみんなが意識を向けるようになったことが、ポジティブな変化をもたらしたんじゃないかと私は思っていて。例えば、以前はカントリーのラジオ局が女性の曲をかけてくれないという批判があったりしたけど、私たちはいい曲を作って実力を証明することで、そういう不均衡を解消できた気がするし。 ―その上、最近は色んなジャンルのアーティストたちが次々にカントリーの影響を受けた作品を発表していますよね。 カーリー:彼らがカントリー・ミュージックに接近したくなるのも、私には不思議じゃない。例えばビヨンセみたいなビッグ・アーティストであろうと誰だろうと、この欺瞞だらけの世界で、みんなある種の心の拠り所を、真実が宿っているものを探し求めているんだと思う。しかもカントリーの世界は懐が深いから誰でも歓迎するし、より多くの人にその魅力が伝わるでしょ。何しろ私がハイスクールに通っていた頃は、カントリーはダサい音楽だった(笑)。なのに今ではカッコいいと見做されるようになったわけだから、素晴らしいことじゃない? ―例えばビヨンセのアルバムで関心を抱いたカントリー初心者に、入門アーティストとしてどんな人たちを勧めますか? カーリー:そうだな、初期のリー・アン・ウーマックやヴィンス・ギル、ブルックス&ダン、ティム・マグロウ、ザ・チックス……とにかく90年代に活躍したアーティストたちを私は勧めたい。カントリーを知りたかったら90年代に戻らなくちゃ!(笑)。 ―最後に、今後活動を続けていく上で目標に掲げていることはありますか? カーリー:これからも、今までに私が勝ち取った評価に相応しい音楽を作りたい。立ち止まることなく前進して、役者だったりほかの分野にも挑戦してみたいし、日本でも誰でも知っているような存在になれたらうれしい(笑)。だから、オーセンティックでリアルな視点に則っていて、誠実に真実を伝えるストーリーを探しているなら、ぜひ私の曲を聞いて欲しい。そして、何か試練に直面していてどうにかして克服したいという人たちにも、私の曲は助けになるんじゃないかな。
Hiroko Shintani