事故物件を渡り歩き3年 芸人・松原タニシの生き方とは?
ワイドショーや週刊誌の「事故物件」ネタに登場
なぜ事故物件に住むかを語る松原タニシ THEPAGE大阪
様々な理由で人が亡くなったマンションなどの部屋、いわゆる「事故物件」に住み続ける芸人、松原タニシ(34)。この生活を始め3年となるが、最近では全国ネットのワイドショーや週刊誌が「事故物件」の話題をとりあげるたびに登場する機会も増えてきた。しかし、彼はなぜこうした生活を続けているのか。実際に彼が住んでいる大阪市内のマンションを訪ね、理由を聞いてみた。
なぜ「事故物件」での生活を?
5月下旬にタニシが住むマンションを訪ねると、笑顔で「ようこそおいで頂きました」と出迎えてくれた。白を基調とした天井の高い、開放感のある高層階ロフト付きの空間が広がる。そして、筆者が「いい部屋ですね」とドアを閉めた瞬間、タニシは「あぁ、そこです」と静かにつぶやいた。筆者が「なんのこと?」という言葉を発する前に「今さわったドアノブで、(前の住人の)女性が首を吊って亡くなられました。いきなりですけど...」 筆者は先制パンチをくらったかのごとく無言になってしまったが、ここで驚いていたは話が進まない。広い空間には少量の家財道具と常に部屋を映しているというカメラやモニターが設置されていた。「この部屋で事故物件の話をすると、なにか起きることが多いので」とリモコンの録画ボタンを押すタニシ。なぜか筆者の緊張感はさらに高まった。 タニシはなぜこのような生活を送るのか。その理由を尋ねると「元々はテレビ番組の企画なんですわ」と話す。聞けば、所属する松竹芸能の先輩、北野誠の「 心霊探偵団本部 『おまえら行くな。』」(エンタメ~テレ)の番組の企画の一環で、若手芸人が事故物件に住み、1日中カメラを置いて部屋の様子を撮影。もし幽霊などが映ったら、ギャラがもらえるという条件だという。
北野誠の紹介で住んだ転機となった1軒目
こうした企画を受けるほど「きっと子供の頃から霊感が強いとか?」と筆者が聞くと「もともと僕は霊感は全くなく、こうしたことに興味もなかった」という意外な言葉が返ってきた。この企画をやる理由を聞くと「ただ単に北野さんに『見た目がそれっぽいからやれ』と言われ、嫌々始めたのが最初なんです」と続けた。 この生活も3年がたち、これまで4回引っ越し、事故物件3軒を渡り歩いた。気になるのは、その中で映ったものはあるかが気になるが、その問いには「1軒目がいちばん怖かったし転機でした」と振り返る。その物件は、北野が「大阪でいちはん幽霊が出るとうわさの物件や」と探してきたもので、カメラで部屋を撮影していると「オーブ」が日に日に増えていく様子も映り、最後にはタオルのような長いものも映っていたという。 しかし「やったー」と思った後、マンションのそばを歩いていると、車とぶつかる接触事故に遭った。幸い無傷だったが、後に、この部屋への引っ越しを手伝ってくれた3人の後輩芸人も同じように車との接触事故に遭い、全員が無傷だったという。「これを聞いた時は偶然というか、脅されているのかとも考えましたね」 異変はその後も続く。仕事で京都府内の喫茶店へ入ろうとすると、店の女性に「ちょっとあなた、入らないで。あなた背中重いでしょ」と言われた。確かに朝から体のだるさを感じていたそうだが、女性はさらに「背中に女性の霊がしがみついてるから入らないで」と言われた。初対面で全く知らない人からそれを言われたのはショックを受けたという。 また、同時期に関西テレビ「稲川淳二の怪談グランプリ2013」のオーディションを受けたが、始まった瞬間、撮影カメラマンが手に付けていた数珠が、突然はじけるハプニングもあった。プロデューサーから「怖いこわい、これ以上しゃべらんでいいから番組出てください」と言われ出演決定。本番では稲川から「えらいね~」とほめられ、優勝はできなかったが、出演していた霊媒師から「残念でしたね。けど、あなたがついているものは『裏チャンピオンですよ』」と言われた。 以来、そうした番組にも呼ばれるようになり「車の事故も無傷で、喫茶入店拒否の件は驚いたけど、テレビにも出られた。この霊は『ええやつ』なんやなぁ」と思えたこともあったとか。そしてオーブが撮れていたので「ギャラがはずむ」と期待を寄せたが、結局は「人の幽霊じゃないからなぁ」と言われギャラアップは幻に。「まぁそこまではうまくいかんのかな」とタニシは苦笑した。