最近パートを始め「7万円分」働いたはずなのに、手取り額が少ない…これって「計算間違い」じゃないの? 理由を解説
パート勤務をしていると「今月は60時間働いたから、給料は何万円くらい振り込まれるだろう」と予測することがあるでしょう。しかし、その予測よりも振込額が少ないと驚いてしまうのではないでしょうか。 振込額が予測より少ないとき、もしかしたら原因は「所得税」かもしれません。非課税範囲で働いていても、所得税が控除されないとは限らないのです。 この記事では、所得税が差し引かれる理由と差額、支払い過ぎた所得税の還付方法などについて説明します。
源泉所得税はどう決まる?
給与から控除される所得税の額は、どのように算出されるのでしょうか? ■源泉徴収の区分「甲欄」「乙欄」とは 源泉所得税を求めるには「給与所得の源泉徴収税額表」を用います。これには月額表と日額表がありますが、給与の支払いが毎月の場合、使うのは月額表のほうです。月額表には「甲欄」と「乙欄」があり、それぞれ源泉所得税額が示されています(図表1)。 【図表1 給与所得の源泉徴収税額表】
国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和5年分) 「甲欄」は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した人について使います。会社はこの書類に書かれた扶養人数などの情報をもとに源泉所得税を求め、給与を計算します。つまり甲欄の税額は、配偶者控除や扶養控除など、所得税を抑える要素があらかじめ加えられているわけです。 一方「乙欄」の税額に、そうした控除の要素はありません。そのため乙欄を使うと、甲欄を使った場合よりも所得税が高くなるのです。乙欄では、たとえ数千円しか給与がない場合でも、少額の源泉所得税が差し引かれることになります。 ■所得税が多く引かれる「乙欄」になる人は 「乙欄」は、扶養控除等申告書の提出がない場合に使います。通常、乙欄になるのは「2ヶ所以上の会社から給与を受けていて、他の会社に扶養控除等申告書を提出している人」です。 しかし勤務先がその会社だけでも、何らかの事情で扶養控除等申告書を提出していない人には、乙欄が適用されることになります。