Aqoursによる『永久hours』首位獲得 90年代J-POPを下地とした現代ガールズポップの最新形に
<CD Chart Focus> 参考:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2024-12-30/ 【写真】紅白初出場当時、意気込みを語るAqoursのメンバーたち 2024年12月30日付(12月24日発表)のオリコン週間シングルランキングによると、Aqoursの『永久hours』が初週推定売上枚数131,827枚で1位を獲得。その後、SWEET STEADY『ぱじゃまぱーてぃー! / ダイヤモンドデイズ』が27,155枚で2位、乃木坂46『歩道橋』が13,254枚で3位と続いた(いずれも推定売上枚数)。 今回取り上げるのは、1位の『永久hours』。表題曲は今年6月にベルーナドームにて開催されるワンマンライブ『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』のテーマソングとして制作され、Aqoursは同ライブをもって活動に一区切りを迎える。それもあって同曲の歌詞は、これまでの思い出を振り返るような言葉と、〈忘れないで 忘れないよ!〉といった感傷的なフレーズが並ぶ。作詞は畑亜貴が担当し、作曲は多くの『ラブライブ!サンシャイン!!』関連楽曲を手掛けてきたKanata OkajimaとHayato Yamamotoが共作している。 「永久hours」の冒頭は波の音を背景に、オーケストラ的なアレンジが施されている。そこから勢いよく飛び込んでくるのが、モータウンビート系の軽やかに跳ねるリズム。弾けるようなワクワク感のあるこのリズムは、広末涼子「MajiでKoiする5秒前」やPRINCESS PRINCESS「Diamonds (ダイアモンド)」といった、恋する乙女心や未来への期待感を歌うJ-POPの名曲を彷彿とさせるものだ。サウンド面では歪んだギターが軸となっていて、個人的にはJUDY AND MARYのような1990年代のバンド作品を連想した。 全体的にそうした90年代J-POPリスペクトが土台にあると感じる一方で、底抜けに明るいサウンドの中にも少々センチメンタルな印象を与えるピアノのタッチであったり、〈元気にハイハイハイ!だよ!〉のフレーズとその後の掛け声に見られる、リスナーへ合いの手をうながす作りは現代のアイドルポップス特有のもの。恋愛感情というよりは〈ユメ〉や〈楽しいキモチ〉といったものを強く歌い、明るさの中にもどこか切なさを含みつつ、コール&レスポンスで歌い手と聴き手を繋ぎ一体感を演出している。つまり90年代J-POPを下地としつつも、現代仕様にアップデートされた日本のガールズポップの最新形と言うべき構造が展開されている。