【イベントレポート】「HAPPYEND」空音央が一目惚れしたキャストたちに感謝「みんなが青春を生きていた」
映画「HAPPYEND」の公開記念舞台挨拶が本日10月5日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの栗原颯人、日高由起刀、林裕太、シナ・ペン、ARAZI、監督の空音央が登壇した。 【画像】強く抱き合う空音央とキャストたち 本作は決して遠くないXX年後の日本を舞台とした青春映画。幼なじみで大親友の高校3年生ユウタとコウの関係が、ある出来事をきっかけに揺らいでいくさまがシニカルかつユーモラスに描かれる。主演の栗原と日高がユウタとコウを演じ、彼らの友人・アタちゃんに林、ミンにシナ・ペン、トムにARAZIが扮した。 第81回ヴェネツィア国際映画祭でのワールドプレミアほか、海外での上映を経て、ついに昨日日本で封切られた本作。7年の年月をかけて本作の脚本を手がけた空は「3.11で政治性に芽生えて、そこから日本の歴史を勉強し、1923年の関東大震災、朝鮮人虐殺について知りました。そしてこの作品の構想を練っているときに、日本でヘイトスピーチが盛んになってきた。近未来で地震が起きたとき、絶対起きてほしくないこと。そんなことを想像し、危機感を感じながら、学生時代に自分が経験した感情を映画にしていきました」と振り返った。 メインキャスト5人をオーディションで選んだ空は「恥ずかしながら、みんな部屋に入ってきた瞬間一目惚れでした」と照れつつ、「キャスティングに関しては、自分の直感を信じようと思ったんです。何より奇跡的だったのは、5人が撮影前からどんどん仲良くなり始めたこと。長年付き合っているかのようで、微笑ましかったです」と目を細める。また「濱口竜介監督が『見終えた後もずっと「HAPPYEND」の登場人物たちが自分の中を生きている』とコメントを寄せてくれましたが、見ればわかる通り、本当にここにいるんです。ある意味、僕は楽というか、がんばらなくても友情が映っちゃう状態。感謝しかないです。僕も嫉妬するような青春をみんなが生きていました」とキャストたちを絶賛する。 本作でスクリーンデビューを果たした栗原と日高は現在、シェアハウスで一緒に生活しているそう。栗原は「現場はすべてが新鮮。みんなと仲良くなったので、めちゃくちゃいい状態で、伸び伸び演技ができました」と、日高は「映画の現場は初めてだったので、『カメラでけーな!』とか、『マイクちけー!』とか思ったり。刺激的な現場でした」と笑みをこぼす。 印象深いシーンに話が及ぶと栗原は、アタちゃんとミンがユウタと校長にアフレコするシーンを挙げ「めちゃくちゃ好きな場面です。かすかに2人の声が聞こえてくるんですがすごく面白くて」とにこにこ語る。日高はユウタとコウが喧嘩する場面に触れ「現実でも映画の通り、(栗原と)仲が良いんです。どういうテンションで撮影に臨めばいいのか考えて。その日だけはしゃべるのやめよう、席も離れて座ろうと。そうすると俺、なんかしたかな?ってお互い感じ初めて、スイッチが入った。より現実味のある掛け合いができたと思います」と舞台裏を明かした。 劇中にも登場する黄色のスポーツカーをデザインした衣装で登場し、会場を盛り上げたのは林。現場を思い返し「みんなエネルギッシュで、なんでも吸収しようとする姿勢。一緒に毎日本読みをして、『ここ、実際にやってみようよ』と声を掛け合えた。そういうことはほかの現場ではあまりないこと。それが映画のためになったと思います」と言及する。シナ・ペンは「高校時代はインターナショナルスクールに通っていたので日本の学校に憧れがあったんです。制服が着られて、キュンキュンして楽しかったです」と述べ、自身がロケ地である神戸で生まれ育ったことを紹介しつつ「バス停のシーンを撮ったのは地元なんです。インターの友達と実際に何度もバイバイした場所。だからぐっときました」と思い入れたっぷりに口にした。ARAZIも同じシーンを振り返り「あそこは移動時間に気持ちを作る時間をいただいて。賑やかにしている人もいたり、一方で気持ちを作っている人もいたり。リラックスして撮影できました」と続く。これを横で聞いていた空は「あのバスのシーンは助監督の計らいで一番最後に撮影したんです。最後がバイバイするシーンで食らいましたね」としみじみと思い返した。 イベント終盤には、サプライズでキャストたちから空に手紙と花束が贈られる場面も。代表で空の前に立った栗原は「右も左もわからない僕たちを導いてくださって、この映画に出会わせてくださってありがとうございます。おかげでたくさん素敵な経験をさせていただいております。僕らはまだ現場をまったく経験していませんが、間違いなく素晴らしい俳優人生をスタートできたと思います。初めてのキャスティングでお会いしたとき、ニヤニヤしていましたが、あれは一目惚れだったんだと最近気付きました」とほほえみ、「この作品を通して、友情の儚さや大切さ、また社会についての考え方、ユウタとコウを通して、颯人と由起刀が勉強させていただきました。僕らは間違いなくビックになると思います! なので音央さんは自慢できると思います。改めて出会ってくれてありがとうございます。これからも監督として、友達として、よろしくお願いします」と言って、手紙を手渡す。「言葉が出ないです……」と感激した様子の空は、5人と強く抱き合った。 最後に空は「いかがでしたでしょうか? 劇場公開が続いていくこの作品をよろしくお願いします」と挨拶。そして、観客に本作の国際版ポスターを印刷したものを掲げながら「裏に作品を書くにあたって自分が参考にした文献を載せています。ご存じの方も多いと思うんですが、自分はパレスチナで起きていることをとても心配していて、声を上げています。この作品を通して、パレスチナに支援ができるようにと、寄附できるQRコードを貼ってます。興味がある方はぜひ見てみてください」と真摯に伝えた。 「HAPPYEND」は全国で公開中。 ■ 空音央への手紙(全文書き起こし) 映画「HAPPYEND」公開記念、10月5日@新宿ピカデリー 栗原颯人、日高由起刀、林裕太、ARAZI、シナ・ペンより 音央さんへ、ついに昨日から日本で公開になりましたね。まず初めに右も左もわからない僕たちを導いてくださって、この映画に出会わせてくださってありがとうございます。おかげでたくさん素敵な経験をさせていただいております。僕らはまだ現場をまったく経験していませんが、間違いなく素晴らしい俳優人生をスタートできたと思います。初めてのキャスティングでお会いしたとき、ニヤニヤしていましたが、あれは一目惚れだったんだと最近気付きました。この作品を通して、友情の儚さや大切さ、また社会についての考え方、ユウタとコウを通して、颯人と由起刀が勉強させていただきました。僕らは間違いなくビッグになると思います。なので音央さんは自慢できると思います。改めて出会ってくれてありがとうございます。これからも監督として、友達として、よろしくお願いいたします。 (c) 2024 Music Research Club LLC