杏里、海外人気曲のアニメーション動画に反響 新旧ファンを取り込んだライブも完売御礼…Adoによる「CAT'S EYE」カバーでさらなる躍進なるか
今や世界的人気となっている日本のシティ・ポップ。特に、1978年にデビューした女性ボーカリストで、シンガーソングライターでもある杏里は、アルバム曲やシングルB面曲が海外から人気で、’25年のさらなる躍進が期待される。前回の記事では、音楽ストリーミングサービスSpotifyにおける再生回数ランキング上位曲や、その人気作品の多くを角松敏生が手がけたことについて触れた。今回は、’24年12月に公開された、Spotifyにおける最大人気曲「Remember Summer Days」のアニメーション動画についても語ってみたい。 【画像】“日本よりアメリカのリスナーの方が多い”という「杏里 Spotify再生回数ランキング」ほか
「悲しみがとまらない」「オリビアを聴きながら」ほか、日本で人気の名曲を解説
その前に、杏里の中でも日本国内で人気の楽曲をいくつか紹介する。現在、ストリーミングの上位は、角松敏生の手がけた作品が確かに大半を占めるのだが、杏里には他のアーティストとのコラボで生み出された色とりどりの名曲も多いからだ。 ・Spotify第2位 「悲しみがとまらない」(’83年)
大ヒット作「CAT'S EYE」に続いて発売されたシングルだが、前作とは異なる曲調やノンタイアップということもあり、オリコン初登場は65位。主人公が三角関係に敗れるという悲しみに満ちた康珍化の歌詞を、林哲司によるサビ頭の爽快なメロディー、角松敏生によるファンキーなアレンジ、さらに杏里がエモーショナルに歌いあげることで見事に昇華。徐々に人気を呼び、9週目にTOP10入りして、最終的には4位まで上昇した。40年以上経過した今でも、熱唱している女性を多く見かける。
・Spotify第8位 「オリビアを聴きながら」(’78年) シンガーソングライターの尾崎亜美が作詞・作曲を手がけた、杏里のデビュー作。「オリビア」「ジャスミン茶(ティー)」「カトレア」といったキーワードが自然な女性らしさを演出している。当時17歳の杏里のボーカルは、素直だが芯が通っていて、夜更けに(おそらく無言の)電話をする元彼に対する「二度とかけてこないで」というメッセージもリアルに聞こえる。ちなみに、昭和曲限定の全世代カラオケ人気ランキング(JOYSOUND調べ)では現在でも12位、平成世代の女子に絞っても24位と、かなりの上位曲となっている。(参照記事:平成世代が選ぶ“昭和曲カラオケ人気ランキング”、堂々1位の「タッチ」に続くのは? アニソン席巻も…演歌の歌姫・石川さゆりが大健闘) ・Spotify 第15位 「Watching Over You」(Peach & Apricot名義)(’21年) 「不思議なピーチパイ」を歌った竹内まりや(Peach)と杏里(Apricot=杏)によるデュエット曲で、女性同士の友情をテーマにしたミディアム調のポップス。作曲・編曲は林哲司が担当しており、竹内も杏里も、彼から提供されたヒット作を持つ。この楽曲では1フレーズごとに交互に歌っているが、二人のボーカルのリレーションが見事で、二人のナチュラルな歌声も良い。 ・Spotify 第19位 「SUMMER CANDLES」(’88年) 当時、中村雅俊主演の結婚をテーマにしたドラマ『恋人も濡れる街角 URBAN LOVE STORY』(日本テレビ系)の主題歌に起用された。ドラマの内容と、かけがえのない愛を歌った歌詞が人々の胸を打ち、平成の結婚ソングの定番に。杏里が歌うと、穏やかな海や自然な砂浜が思い浮かぶことから、唯一無二のボーカリストと言えよう。他にも、第29位の「ALL OF YOU」、第37位の「夏の月」、第41位の「ドルフィン・リング」など、杏里には自作の名バラード曲が多数ある。 ・Spotify 第22位 「スノーフレイクの街角」(’88年) 杏里には珍しい冬うた。彼女のヒット・アルバムを支えた吉元由美による歌詞だけ読むと、「粉雪」「白い森」「吹雪」「頬ちぎる風」など孤独感がいっそう高まりそうだが、杏里のボーカルが、それでも希望の灯を絶やさない役割を果たしているように聞こえる。冬の杏里が気に入った方には、アルバム『TROUBLE IN PARADISE』(’86年)もぜひおすすめしたい。