使用済みつめかえパックを傘にリサイクル、神戸市主催の環境イベントで初披露
兵庫県神戸市主催による環境問題を学ぶ体験型イベント『こうべ環境博覧会 かんぱく2024』が10月19日、地域コミュニティ施設「ふたば学舎」(神戸市長田区)にて開催された。 【写真】傘をシールやイラストで飾る子どもたちの様子 みんなで環境について考えることで環境活動の輪が広がるきっかけとなるよう、2023年から開催されている同イベント。初開催の昨年に引き続き、イベントには環境に配慮したさまざまな取り組みを実施している企業・団体が出展し、今年は昨年の出展者数を上回る40ブースにて展示販売やワークショップなどがおこなわれた。 ■ つめかえパックを資源に、リサイクル傘づくりを親子で体験 ワークショップのうちのひとつでは、洗剤やシャンプーなど日用品の使用済みつめかえパックを資源とした「リサイクル傘」を初披露するお披露目会と傘づくり体験が実施され、会場となった教室では小学生以上の親子20組が参加した。傘の生地にはつめかえパックからリサイクルした再生樹脂が50%使用されているという。 子どもたちは保護者と一緒に傘を組み立てたあと、生地にシールを貼ったりマジックで思い思いの絵を描いたりと、世界にひとつだけのオリジナルの傘づくりに挑戦。最後は、完成した傘を持って全員で記念写真を撮影した。 ワークショップでは傘づくりとあわせてプラスチックの資源循環などを学ぶ時間も設けられ、参加者からは「たくさんの人や企業が連携してごみを出さずリサイクルして、傘になったことが知れてよかった」「今度から、つめかえパックはごみに出さずに、回収店舗にもっていこうと思った」などの声があがっていた。 ■ 全国に先駆け、神戸市が目指す「まわり続けるリサイクル」とは このワークショップは、神戸市が小売事業者、日用品メーカー、リサイクラー(再資源化事業者)の計16社と協働している『神戸プラスチックネクスト~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~』のプロジェクトチームによるもの。このプロジェクトでは、使用済みつめかえパックを分別回収し、再びつめかえパックに戻すという「水平リサイクル」を目指しており、全国に先駆けた試みとして取り組まれている。 2021年10月より開始された同プロジェクトでは、神戸市内の小売店舗などに回収ボックスを設置し、3年間で約5トンのつめかえパックが集まった。プロジェクト活動の一環として、この一部が今回お披露目された傘の生地にリサイクルされており、2024年12月より神戸市内の傘シェアリングサービス「アイカサ」で運用の開始を予定しているという。 また、別の教室では、来場した市民にむけてプロジェクト開始から3年間の実証報告会がおこなわれた。登壇者のひとりである神戸市環境局資源循環課の井関和人課長は、「神戸市では、何にリサイクルするために何を集めるかという発想で『まわり続けるリサイクル』を取り組んでいる。つめかえパックをリサイクルするには多数の課題があるが、企業が競合の垣根を越え、つめかえパックの水平リサイクルを目指している。神戸市民の皆さんのご協力で、3年間で約5トンを回収できたが、更に回収量を増やしたい」とコメントし、プロジェクトへのさらなる参加を呼びかけた。