【谷繁元信】才木浩人に成長感じた 3ボールでも全く焦らず、スライダーの精度増し投球に幅
<ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12:侍ジャパン3-1台湾>◇16日◇台北ドーム 【写真】笑顔をみせる侍ジャパン才木浩人 侍ジャパンでもっとも印象に残った選手は、やはり先発の才木だ。今季13勝3敗と1人で貯金10を稼ぎ、防御率1点台を残したのもうなずけた。 成長を感じる場面は、いくつかあった。まずは初回、先頭にいきなり3ボールとしたが、全く焦った様子がなかった。4球目はストライクゾーンの真ん中に真っすぐを投げ、見逃しストライク。5球目も真っすぐで見逃しを奪い、フルカウントまでもっていった。6球目もゾーンへの真っすぐで一ゴロに仕留めた。 2回無死一塁でも6番打者に3ボールとしたが、ここでもゾーンに真っすぐを続け、見逃し、ファウルでフルカウント。最後、7球目も真っすぐで見逃し三振。NPB球との違いも感じさせない。たとえカウントを悪くしても、ゾーンに真っすぐを投げれば抑えられる自信があったのだろう。 真っすぐ一辺倒でもなくなった。以前の才木は、真っすぐにフォークという印象だったが、昨季後半からスライダーを使えるようになった。今季はその精度が増し、投球の幅が広がった。この日は、相手打線が2回り目からスライダーの割合を増やしていた。目を見張ったのは、4回1死で4番打者にカウント0-1からスライダーで空振りを奪った場面だ。左打者のインハイにスライダーを投げていた。曲がりすぎればぶつけるし、少しでも甘くなれば打ちごろになる。意図してインハイに投げて追い込み、最後はフォークで空振り三振。台湾の主砲にバッティングをさせなかった。 まだ26歳。伸びしろもある。2年後の次回WBCまでに、真っすぐの力がさらについているだろう。大谷、山本もいるが、故障がなければ、日本のエースになっていてもおかしくない。1つだけ忘れて欲しくないのは、相手バッターにとって才木の一番嫌な部分はその真っすぐだということだ。角度にスピードもあり、非常に脅威。スライダーの精度が上がったとはいえ、かわすピッチングに走らず、このまま真っすぐを磨いていって欲しい。 チームとしての反省点を挙げれば、6回の紅林のバント失敗だ。前日の韓国戦でも辰己が送れなかった。短期決戦だけに、細かいプレーができるに越したことはない。「勝利」という結果が全ての国際大会だが、日本野球の良さをキープして、ぜひ優勝まで勝ち上がってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)