製薬大手元社員の妻は殺されたのか 晩酌の焼酎パックに残された痕跡が語るもの 法廷から
これに対し弁護側は、妻の異常行動は二日酔いによるものだと被告が考え、当時は新型コロナウイルス禍でもあり「救急車を呼ぶのをためらった」と説明。また、妻がインターネットで自殺に関する検索をしていた可能性がある、とも主張している。
■愛飲していた酒に
検察側が殺害の根拠の一つに挙げるのが、焼酎のパックに残された痕跡だ。
妻はパック入りの麦焼酎を愛飲していたという。検察側によれば、被告は妻の異常行動が出た15日、自宅にあったこのパックを携帯電話で撮影していた。この写真では、パックの表面に一部、白いしみのようなものが残っていた。
公判では、このパックに使われているインキを製造しているメーカーの社員に対し証人尋問が行われた。メタノールや同じくアルコールの一種「エタノール」などの試薬を同じパックに付着させる実験を行った結果、社員は「メタノール試薬がパック表面にたれれば、こうした状態になる可能性がある」と証言した。
これに対し、弁護側は別の専門家に実験を依頼しており「メタノールの痕跡とはいえない」と反論する見込みだ。
果たして妻は殺されたのか。今後も審理は続き、判決は10月30日に言い渡される。(滝口亜希)