「休むことに罪悪感を持たないで」疲れているのに頑張ろうとする人が見直すべきこと
「自分は何も持っていない」「いつも他人を妬んでしまう」「毎日がつまらない」――誰しも一度は感じたことのある、やり場のない鬱屈した思い。そんな感情に寄り添ってくれるのが、イラストエッセイ『ぼくにはなにもない 愛蔵版』。小説家だけではなく、大人気ゲーム実況グループ「三人称」の鉄塔としても活躍する賽助氏も本書の読者だ。この記事では本の感想も交えながら、賽助氏が考える「心の持ち方や生き方」について語ってもらった。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬) 【この記事の画像を見る】 ● 何かやらなきゃと思うものの、疲れて何もできなくなるとき、どうすればいい? 「何かやらなきゃ」と思うものの、毎日疲れて結局何もできなくなる――そういう人は僕が思うに、「真剣に向き合いすぎている」ことが原因じゃないかなと思います。 毎回フルスロットルで頑張りすぎると、そりゃ疲れますよね。 新しい職場とか新しい環境だと特にそうなりがちで、「ちゃんとやらなきゃ」って気合いを入れすぎてしまう。 その結果、どんどん疲れがたまって、気づいたら「何もできない」状態になっちゃうんだと思います。 僕も新しいことを始めるときはそういう経験がありました。 気合を入れすぎて、全力を出してしまって、その後しばらくは何もやる気が起きなくなる。 そういうときって、「適度に力を抜く」ことが本当に大事だなと思うんですよね。 仕事や何かに慣れるって、結局は力の使い方がわかって、どこで抜くべきかが自然と身についていくことなんじゃないかなって思います。 だから、何かやらなきゃって思う気持ちは大切なんですけど、真剣に考えすぎて空回りしてることも多いんじゃないかなって感じます。 「何もしなくていい日」があっても全然いいと思うんです。 今日一日何もできなかった、終わり、でもいい。 逆に「今日を有意義に使わなきゃ」と思いすぎると、余計に疲れてしまうこともありますよね。 こういう悩みを抱いている方は、多分すごく真面目な方なんだろうなと思います。 努力しなきゃダメなんじゃないか、何もしないと不安になるんじゃないかって感じてしまう。 でも、僕が思うに、極端な話、「何もしなくてもいい」んですよ。 むしろ疲れて寝ちゃっただけでも、それはそれでいいんです。 忘れるくらい寝ちゃったほうがいいときもありますからね。 ただ、疲れて寝るだけだと「もったいない」と思う気持ちもわかるので、そういうときは「余力を残しておく」っていう意識が大事なのかなと思います。 僕自身、仕事で疲れたとき、無理に頑張ろうとしないようにしていました。 たとえば、休日出勤とか、基本的に絶対しませんでした。 自分の時間をちゃんと作ることが大事だと思っていたので。 「ちょっと休日も出てくれない?」って頼まれることもありましたけど、本当に必要なとき以外は断っていました。 その代わり、どうしても出なきゃいけないときは、その後どこかでしっかり休むようにしていました。 残業も、しょうがないときはやりますけど、その分自分に何かしらの「見返り」をつくるようにしていました。 「残業したから今日は夜に好きなものを食べよう」とか、「休日は絶対何もしない」って決めるとか。 そういう「見返り」を自分の中で決めることで、少しは気持ちのバランスを取っていた気がします。 疲れてしまう人へのアドバイスとしては、「力を出し切らないこと」と「余力を残しておくこと」が大事なんじゃないかなと思います。 たとえば、「今日はここまでは頑張ろう」「これ以上は頑張らない」と自分で線を引くとか。 仕事や家庭や勉強で全力投球しすぎると、余裕がなくなってしまうので、どこかで少し力を抜く習慣をつけるといいんじゃないかなと思います。 それから、「休むことに罪悪感を持たない」っていうのも重要ですね。 疲れているときは休む。それだけで十分だと思います。 無理に有意義なことをしようとしなくても、少しでも自分が楽になる方法を探してみるのがいいんじゃないかなと僕は思います。 (本記事は『ぼくにはなにもない 愛蔵版』の感想をふまえた賽助氏へのインタビューをもとに作成しています) 賽助(さいすけ) 作家。埼玉県さいたま市育ち。大学にて演劇を専攻。ゲーム実況グループ「三人称」のひとり、「鉄塔」名義でも活動中。著書に『はるなつふゆと七福神』『君と夏が、鉄塔の上』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)『今日もぼっちです。』『今日もぼっちです。2』(以上、ホーム社)、『手持ちのカードで、(なんとか)生きてます。』(河出書房新社)がある。
齋藤真行/さいとう れい