ヤクルト19歳村上が阪神戦で鈴木誠、筒香に並ぶ9号を逆方向に。「将来本塁打王取れる」とミスター虎の声
ヤクルトが阪神を手玉にとった。大型連休最後となった6日、神宮球場で行われた阪神戦。ヤクルトが4-2で逃げ切った。ヤクルトは貯金「5」に戻し阪神は貯金「1」。ゲームのポイントはいくつかある。バレンティンを欠くヤクルトは、先発の青柳に対しバントで揺さぶりをかけた。青柳に限らずサイドハンドは、ゴロ処理のショートスローイングに難がある投手が少なくない。先頭の太田がいきなりセーフティバント。ほぼ正面のゴロだったが、処理した青柳が一塁のマルテが捕球体勢にさえ入れない、とんでもない悪送球。まるでファウルグラウンドに向かって投げるようなスローだった。しかも、ライトの糸井のカバーが緩慢で遅れた。一気に三塁へ。絶好の先制機に山崎のタイムリー、雄平の左犠飛で2点を先制した。 ヤクルトは3回にも山崎がバントを仕掛け青木でさえカウント3-0からバントの構えをした。このチームの強さは、こういう徹底した一体感にある。 一方、阪神の反撃を食い止めたポイントは2回の梅野の盗塁阻止にあった。5番に入っていた梅野が四球で歩き、続く高山を迎えての初球。バッテリーはストライクを取りたいカウントで走者への注意が気薄となりマウンド上のブキャナンのクイックは、そう早くない。絶好の狙い所で、おそらく阪神ベンチは「This Ball」でサインを出し梅野にスタートを切らせた。だが、中村が落ち着いて刺す。 ヤクルトの衣川バッテリーコーチは「中村がうまく反応してくれた。梅野は足が遅くはないし予期して準備していたんだと思う」とバッテリーの準備を評価した。ヤクルトが一枚上。阪神は追撃チャンスを潰す。ここがヤクルトバッテリーvs阪神ベンチの勝負の分岐点だったと思う。 またヤクルトは“守護神”石山がコンディショニング不良で登録抹消。代役ストッパーに指名された20歳の梅野が「緊張した」としながらも、最速が150キロを超える小気味いいピッチングでプロ入り初セーブ。二死一塁で、昨日サヨナラ本塁打をマークしている代打・福留を迎え一打同点のピンチを作ったが、度胸満点のフォーク3連投で三振。「いいボールを投げるとしたら彼が一番」と、抜擢した小川監督を安心させた。ヤクルトにとって収穫の多い1勝となった。 さて前置きがずいぶん長くなったが、この試合で止めを刺したのは2017年のドラフト1位(九州学院)2年目の村上の9号である。4回無死一塁から4-0とリードを広げる価値ある2ラン。結果的に、このホームランが効いた。カウント2-2から阪神の青柳―梅野のバッテリーが選択したのが外角低めに沈むシンカーである。セオリー的には最もホームランの可能性の薄いコース。 しかし「(ホームランを)狙う場面じゃない。追い込まれていましたし四球でもなんでもいいので塁に出ようと考えていました。ピッチャーがゼロに抑えていましたから、なんとかつなごうと」だけ意識していた村上が、ボールを呼び込んで強く叩くと、打球は逆方向のレフトスタンドの中段まで飛んでいった。セ・リーグのホームランダービーで巨人・坂本の12号、横浜DeNA・ソトの11号に続き、広島・鈴木誠也、横浜DeNA・筒香に並んで3位に浮上した。7球団が清宮を1位指名。清宮を外したヤクルト、巨人、楽天が外れ1位で競合した逸材は、怪我で2年目に足踏みしている清宮に追いつき、もう抜き去ろうとしている。