ヤクルト19歳村上が阪神戦で鈴木誠、筒香に並ぶ9号を逆方向に。「将来本塁打王取れる」とミスター虎の声
実は、神宮球場の放送席にいた阪神の掛布雅之SEAは、この本塁打を番組中に予言していた。村上はカウント2-0から外角のシンカー系のボールを3球続けてファウルにしていたが、そのタイミングを見て「村上君の目付は外にあります。内で勝負しないと外を続けると危ないですよ」と注意していたが、その“目付”のあった外を見逃さなかった。 掛布氏は、さらにこう続ける。 「面構えがいいよね。一人の球界OBとして見て素晴らしいバッターだと思う。逆方向に本塁打できるのはホームランタイトルを取るための条件」 ホームランバッターに対してバッテリーが嫌うのが逆方向に打たれるアーチであり、それが量産のポイントになる。バットスイングの速さとボールに入れるバットの角度、ボールを捉える打撃フォームの軸がぶれないことなどの要素が揃わなければ逆方向へのオーバーフェンスは難しい。 村上も、逆方向の本塁打について「自信もって逆方向でも飛ばせる気で打席に立っている。そこを伸ばしていきたい」と胸を張った。 気の早い話を書くが、新人王資格を持っている村上は、清原和博氏が西武の高卒1年目でマークした31本を超えることができるのだろうか。また巨人時代の松井秀喜氏が2年目にマークした20本超えはどうだろう。村上は現在34試合で9本。ペースとしては38本ぺースである。 掛布氏は「将来的には40、50本を打ち、ホームランタイトルを取る可能性のあるバッターだと思う。もちろん左腕の変化球への対応など課題は多いが、高卒2年目の打者としては、昔の私を見ているよう。清原君は1年目に31本。30本の壁を超えるかどうかは微妙な線。24、25本は間違いなく打つだろうが、ここからふた回り以上して、相手に研究される中で、どう成長していくかがポイントになるのかもしれないね」という見方をしている。同じく高卒ルーキーとして1年目からチャンスをつかんだ掛布氏は2年目に11本、3年目に27本、7年目に48本で本塁打タイトルを手にしている。ミスタータイガースから“お墨付き”をもらった村上だったが、試合後は、神妙な顔をしていた。 6回二死二塁で梅野の三塁を襲う大きなバウンドの打球は、アンツーカーで少しイレギュラーしたが、逆シングルで上からつかみにいった村上は打球に触ることができず痛恨のタイムリーエラー。6回を投げきりたかったブキャナンが交代するはめになり、その心理的ショックを引きずったのか、6回無死一塁、8回二死一、二塁のチャンスには、いずれも“ノー感じ”の三振を喫している。 「ピッチャーに申し訳ないです。あそこでしっかりと守れば回は終わっていた。そのあとのチャンスでも打てなかった。しっかり反省して練習して明日に生かしたい」 ちなみに、この日、村上がクラブハウスに戻ってくるのは一番遅かった。その向上心の積み重ねこそが村上のブレイク前夜の糧だろう。