フィリピン株式市場「2024年新規上場数」目標未達の見込み…2025年は50%増を見込むも「トランプ次期米国大統領就任」が懸念
一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はフィリピン株式市場の現状と来年の見込み、外国からの投資マネーの動向についてみていきます。 【動画】日本のシン富裕層✖︎永住権・移住
フィリピン株式市場…2025年は6件の「新規株式公開」を計画
フィリピン証券取引所(PSE)は、2025年の資金調達目標を1,200億ペソに設定しました。2024年の調達額は790億ペソで、約50%の増加を目指しています。主な手法は、追加株式募集(FOO)、株式の権利売り出し、プライベートプレイスメントです。 PSEは2025年には6件の新規株式公開(IPO)を計画し、最大1,500億ペソの資金調達を見込んでいます。2024年は目標としていた6件のIPOに対して3件にとどまり、調達額も目標の1,750億ペソを下回りました。ちなみに今年のIPOは、鉱業会社のオセアナゴールド・フィリピンズ、再生可能エネルギー会社のシティコア・リニューアブル・エナジーとネクスジェン・エナジーの3社でした。予定されていたセブ拠点のガソリンスタンドチェーン・トップライン・ビジネス・デベロップメントのIPOは、機関投資家の関心に対応するため2025年第1四半期に延期されています。 来年は、アメリカのトランプ次期大統領の政策がフィリピン経済に影響を与える可能性があり、不確実性が高いとされています。特に、不法移民の送還や輸入品への関税引き上げが、フィリピンの海外送金やIT-BPM産業に影響を及ぼす懸念があります。 フィリピンはアメリカ企業のアウトソーシング先として人気が高く、2003年から2021年の間に395社が224億ドルを投資し、そのうち35%がIT-BPM部門に向けられました。一方、SMプライムのREIT、電子決済のGCash、インフラ開発のPrime Infra、水道会社のMaynilad Water ServicesがIPOを実施すれば、2025年の目標である1,200億ペソは十分達成可能となります。金利の低下が市場活動を促進し、株式市場の活性化に寄与することが予想されています。 また、PSEは2023年末までにフィリピン証券取引システム・ホールディングス(PDSグループ)の完全取得を目指しています。同グループは債券市場向けの取引インフラを提供しており、現在PSEはその株式の約21%を保有しています。