【ボクシング】岩田翔吉、早大出身初の世界王者に「ボクシング部は強くないので。歴史つくれた」
＜プロボクシング：WBO世界ライトフライ級王座決定12回戦＞◇12日◇東京・有明アリーナ WBO世界ライトフライ級1位の岩田翔吉（28＝帝拳）が新王者となった。無敗の同級2位ハイロ・ノリエガ（31＝スペイン）と世界ベルトを懸けて拳を交え、3回3分0秒、TKO勝利を収めた。同回に右ショートアッパーでダウンを奪取。立ち上がってきたノリエガに左フックでダウンを追加し、レフェリーストップに追い込んだ。22年11月以来、2度目の世界挑戦で王座獲得に成功。早大出身初の世界王者となった。またIBF世界同級王者矢吹正道（32＝LUSH緑）との統一戦を希望した。 ◇ ◇ ◇ 得意の打ち合いに、岩田が負けるはずがない。左フック、大振りの右フックで前に出るノリエガのあごをとらえた。接近戦からの右ショートアッパーで効かせてダウンを奪うと、好機を逃さない。立ち上がった相手のあごを左フックで打ち抜いて仕留めた。岩田は「（トレーナー）粟生（隆寛）さんや陣営から『いけ』と言われ、絶対にいかないといけないと思った。子供のころから夢見ていた世界王座」と腰に巻いたWBOベルトをみつめた。 国内ジム最多となる帝拳ジム14人目の世界王者となった。しかし、道のりは険しかった。期待され、プロ10戦目で22年11月、当時のWBO王者ゴンサレス（プエルトリコ）に挑戦も、ディフェンス重視のアウトボクシングに敗れた。粟生トレーナー、所属ジムの本田明彦会長らに基本や駆け引きの技術など厳しく指摘され続け、再起から4連続KO勝利してつかんだ2度目のチャンス。岩田は「自分の人生すべてを懸けて戦った。勝てなければ最後と思っていた」と明かした。 高校3年時に田中恒成、井上拓真を下して全国高校総体（インターハイ）を制覇。同学年のライバルがプロ転向したが、早大進学してアマを継続した。早大出身として4人目の世界挑戦で同大初の世界王者となり「早大ボクシング部は強くないので。歴史をつくれた」と喜んだ。 すぐに新IBF王者の王矢吹の名を挙げ「この階級で盛り上がる試合。できれば戦いたい」と希望した。9歳の時に弟子入りした総合格闘家・山本“KID”徳郁さんと同様に「面白い試合」を求めて岩田は走り続ける。【藤中栄二】 ◆帝拳ジム輩出の世界王者（JBC登録のみ） 大場政夫、浜田剛史、ホルヘ・リナレス、西岡利晃、粟生隆寛、下田昭文、山中慎介、五十嵐俊幸、三浦隆司、カルロス・クアドラス、木村悠、村田諒太、尾川堅一、岩田翔吉
