ボクシングのタイトル戦で第2のタイソン事件?肩を噛まれた!
プロボクシングのWBCユース世界ライトフライ級王者決定戦が12日、後楽園ホールで日本同級1位の拳四朗(22歳、BMB)と、東洋太平洋ミニマム級5位のロリー・スマルポング(21歳、比国)の間で行われたが、10ラウンドにポイントで劣勢だったスマルポングが拳四朗の左肩に噛み付くという前代未聞の事件が起きた。1997年9月に王座陥落したマイク・タイソン(米国)が、WBA世界ヘビー級王者、イベンダー・ホフィリールド(米国)と再戦した試合で、耳を噛み千切るという事件を起こし反則負けしたことがあったが、まさに第2のタイソン事件。なお試合は、3-0の大差の判定勝利で拳四朗が初の王者となった。
問題の場面は10ラウンドの途中に起きた。8ラウンドが終わった時点で公開された採点は、3者共に拳四朗を支持(76-75、77-74、78―73)。ユースタイトルは10ラウンド制で行われるため、右目もカットされたフィリピン人ボクサーは、ほとんど逆転不可能な展開にいらだったのだろう。両者が、クリンチでもみあった際に「痛い!」という声がリングサイドまで届いた。 スマルポングが拳四朗の左肩に噛み付いたのだ。 拳四朗が、左肩に残る歯型を示して、レフェリーに抗議。レフェリーは、スマルポングに注意を与えると同時に減点を取った。 「こんなのをやられたの初めてでびっくりしました。痛かったので思わず声が出ましたよ」 試合後の控え室で、まだ歯型が左肩にクッキリと残っていた。 試合続行が不可能になるほどの噛み付き行為ではなかったので、反則負けは宣告されず、1点の減点だけで試合は再開され、拳四朗は最後まで左ジャブで突き放して大差の判定勝利。プロ5戦目で初のタイトルを獲得した。だが、噛み付き攻撃には、さすがに「なんで?」と目を白黒。一方のフィリピンボクサーは、「俺は、噛んではいない。自覚はない。たまたま口がぶつかったアクシデントだ」と言い訳をした。バッティングのアクシデントは多々あるが、噛み付きのアクシデントなど聞いたことがない。 最近では、昨年4月に米国で行われた無敗の統一王者、フロイド・メイウェザー(米国)と、マルコス・マイダナ(アルゼンチン)との試合で、クリンチで左手を抱きかかえたマイダナが、メイウェザーの左手をグローブの上から噛み付くという事件があったが、日本のリングではここ数年、前例を見ないようなプロレスまがいの反則だった。