出力規制ない“海外製”か…上空約1kmの自衛隊輸送機に『レーザーポインター』の光 照射の危険性と問われ得る罪
レーザーの危険性について、名古屋市千種区の「中村眼科クリニック」の中村富雄院長に聞きました。 中村院長によるとレーザーは「強い光の束」で、目の奥の網膜まで届き、網膜がやけどを起こして視力低下や失明の危険性があり、元に戻らないことがあるということです。
そして問われる罪について、レーザーポインターの照射に関する相談を受けたことがあるという「OSAKAベーシック法律事務所」の中村友彦弁護士に聞きました。 中村弁護士によると、レーザーポインターを目に向けた時点で「暴行罪」(2年以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれか)、実際に傷を負わせた場合は「傷害罪」(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)で、傷害の結果相手が死亡した場合は「傷害致死罪」(最長20年で3年以上の有期懲役)に問われます。
また、飛行機やバスなどの業務を妨害した場合は「威力業務妨害罪」、そして「道路交通法」では「運転者の眼を幻惑するような光をみだりに投射すること」を禁止していて、罰金5万円です。
飛行機に対しては、別の法律もあります。航空に関する法律で、レーザーポインターで照射する行為を禁止(50万円以下の罰金)していて、航空の危険を生じさせた者に最長20年で3年以上の有期懲役などと定められています。
中村弁護士は「レーザーポインターで操作を誤れば、重大な事故が起こる。量刑としては見合ってないのが現状」と話しています。
■自衛隊機を狙ったのは「海外製品」か…メーカーの苦悩
レーザーポインターのメーカーに射程距離や、こうした悪用について聞きました。広島県で携帯用レーザーポインターの製造販売を行っている「エフエムレーザテック」によると、販売するレーザーポインターの射程は100~200mだといいます。
小牧基地の自衛隊機へのレーザー照射は、上空およそ1キロで起きましたが、乾電池で動かすような携帯用レーザーポインターは、2001年から法規制の対象になっています。 レーザーの出力が制限されていて、この基準で作ると射程は100~200m程度になるため、今回の事件に使われたものは、規制のない海外で作られたものを通信販売などで購入して使っているのではないかとしています。
エフエムレーザーテックの担当者は「レーザーポインターの悪用で、商品のイメージも悪くなってしまう。世の中に役に立つものをという思いで作っているので、こうしたことは絶対にやめてほしい」と話しています。 2024年11月22日放送