札幌大谷が旭川実に逆転勝ちし、4年ぶりに全国高校サッカー選手権出場
第103回全国高校サッカー選手権北海道大会最終日は2日、札幌市の大和ハウスプレミストドームで決勝戦を行い、札幌大谷が旭川実に3―1と逆転勝ちして4年ぶり4度目の優勝を決め、12月の全国選手権出場を決めた。前半4分に先制されたが、同20分に追いつき、同32分にFW真浦劉(3年)のゴールで勝ち越し、後半にも追加点を奪った。就任3年目の清水隆行監督(49)は部長時代の5度の全国大会出場を経て、監督としては準優勝で出場した今夏の全国高校総体に続く全国切符。攻撃的で美しいポゼッションサッカーで念願の“結果”を手にした。 全国選手権に3度導くなどした田部学前監督から引き継いだ清水監督が、監督として初の頂点に立った。選手の手で宙を舞った指揮官は「監督でありながら一番近くで見ているファン。彼らのサッカーを12月まで見られる、一緒にサッカーができることが一番の喜び」と口にした。 前半4分に先制されたが、同20分に右サイドバックのDF森詩音(3年)が鮮やかな連係から同点弾を決めた。同32分に見事な崩しから真浦のゴールで勝ち越し、後半36分にプリンスリーグ得点王(15得点)のFW簗詰夕喜(3年)が今大会4試合連続ゴールでダメ押し。札幌大谷の神髄ともいえる攻撃サッカーで粉砕した。 うまいけど勝てない。そう揶揄(やゆ)されることもあったチームの転機は、夏の全国高校総体だった。2回戦で強豪・市立船橋(千葉)に1―4の敗戦。それを機に、攻撃サッカーを貫きつつ勝ち切る強さを身につけた。札幌U―15からU―18に昇格できず、札幌大谷の門を叩いた森は「自分たちがやっていて楽しい、が共通認識。そういうサッカーがしたくて来た。ここに来て一番の目標は選手権で全国に出ることだった」と破顔した。 実力者たちを束ねてきたのは、J3FC今治への入団が内定しているMF笹修大主将(3年)だ。ボランチとして攻守で貢献。この日も試合展開や状況を見ながら、試合終盤に自身の判断で4―4―2から4―1―4―1にシステムを変更。攻撃的サッカーのリスクを最小限に抑えるマネジメントも光った。 チームの力を信じてきた先に全国があった。笹主将は「目標は全国ベスト8と言っているが、それを超えたらもう優勝しか見ていない」と力強かった。(青木 一平) ○…決勝弾を決めた真浦は「いいパスが来たので決めるだけだった」と振り返った。1―1で迎えた前半32分に、右サイドからのグラウンダーのクロスに右足で合わせた。今大会3点目が決勝弾となったストライカーは「夏(の全国総体)に負けてから、みんなで個人技術を磨いてチームとしてより一丸となった」と勝因を挙げた。