田中食品 田中孝幸社長 健康は世界共通 変化とらえ可能性広げる
ふりかけの老舗メーカー、田中食品(広島市)。海外でふりかけの市場が拡大しているのを受け、昨年、添加物不使用の「世界の友」を発売した。特許を持つ「巻くふりかけ」の可能性も探る。「世の中に必要とされるものを出し続ける」と語る田中孝幸社長に話を聞いた。 ◇ ◇ ――昨年、看板商品「旅行の友」をベースに海外市場を見据えた「世界の友」を発売しました。さらに今回、新製品が加わりシリーズ化されました。どのように展開する考えですか。 田中 アジア圏を中心に海外のふりかけ市場は広がっている。海外を意識し、添加物不使用のふりかけ「世界の友」を発売した。同じコンセプトでフレーバー展開したのが、今回発売した「自然のうまみ仕立てシリーズ」の3品(鰹、たまご、海苔)だ。「健康」というテーマは世界共通。世界中で販売し世界の健康に貢献するため、大多数の国を網羅できる仕様になっている。 ――プレミアムタイプとソフトタイプにも新商品が加わりました。 田中 プレミアムは「鰹ふりかけ」「山葵ふりかけ」の2品を発売した。「プチ贅沢」に関する調査によると、約7割の人が食べ物にお金をかけるという結果が出ている。今回はご当地料理に注目し、その味を再現したふりかけを開発した。焼津産のかつお節、高知産のゆずなどの国産原料を使っている。特に「山葵」は、わさび好きな人でも十分に満足できるほど強めの風味に仕上げた。 ソフトふりかけは好調に推移している。今回は生鮮魚介類の中で購買が最も多い鮭に着目し、「焼鮭」を投入した。 ――ソフトタイプが好調な理由をどう見ていますか。 田中 素材を感じやすく、軟らかいため高齢の方も安心して食べられるからだと思われる。リピートにもつながっている。 また、素材型の商品が中心なので、ご飯だけでなくパスタやおかずにも利用できる汎用性がある。海外では、ふりかけが素材型の調味料として使われることも多い。ふりかけはご飯にという固定観念は強いが、こうした商品によりそれを変えていきたい。 ――固定観念を変えるということでは、シート状の「巻くふりかけ」があります。 田中 現在、広島県宮島口にある直営店「旅行の友本舗」と通販で扱っている。海苔のようにご飯に巻いたり、好きな形に切ってトッピングにしたりと使い方はさまざま。 特許を取得した独自の製法で作るので、既存のものにはない食感がある。ふりかけにとどまらず、シート状の食品として飲食店などの業務用に広げたい。