53歳、今から年金を増やせますか? ひと月5万円ほど余裕資金があるので、これを使って定年までにうまく年金を増やしたいです
2024年より新しいNISA制度が始まり、資産運用にますます注目が集まっていますが、リタイアが近い50代が資産運用を始めるのは遅いのでしょうか。積立できる期間が短い場合にどうすればよいか、ファイナンシャルプランナーが解説します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
Aさんのご相談
現在53歳の会社員A氏。妻と娘の3人家族で、娘は今年大学卒業。ようやく教育費にめどがたったので、今度は自身の老後の備えについて考えるようになりました。 教育費の負担がなくなると、今後毎月5万円程度は定年まで貯金ができそうだが、これを使って定年までにうまく年金を増やしたいそうです。いったいどのくらい年金を増やせるのでしょうか。
貯金だとどうなるのか?
毎月5万円ずつ貯金したとすると、1年間で60万円、60歳定年ならば420万円貯まりますが、これで老後は安心なのでしょうか。 「老後2000万円問題」では、高齢夫婦無職世帯は生活費が毎月約5万5000円不足しているということですから、貯金が毎月5万5000円ずつ減っていくとします。すると、420万円は6年5ヶ月で底をついてしまいます。 最近では定年が65歳という企業も増えていますが、頑張って65歳まで貯金したとしても720万円ですので、こちらも10年11ヶ月で底をつきます。人生100年時代を生きるわれわれには、少々心もとないです。 仮に、毎月5万5000円を30年間使う場合を考えると1980万円必要になる計算ですので、これを定年までに貯金で準備しようと思うと、今からではかなり厳しいでしょう。
資産運用するとどうなるのか?
金融庁が公表している、「金融経済教育 高校授業副教材」の「様々な資産の年間の値動きの想定」によると、海外株式の平均的な利回りは年率7.2%ということですので、仮にこちらを投資対象とした投資信託に毎月5万円ずつ投資したとします。 60歳まで続けると約544万円(投資元本420万円)、65歳までだと約1138万円(投資元本720万円)になっている計算です。貯金に比べると魅力的ではありますが、それでも30年使う分には足りませんし、投資にはリスクもあります。やはり53歳という年齢を考えると今から年金の準備をするのは難しいのでしょうか。