日韓すれ違う主張 輸出管理の厳格化問題を考える
韓国の輸出管理に「不適切な事案」
日本政府が公に問題視しているのは、韓国の輸出入管理が適切に行われていないことであり、3品目をめぐって「不適切な事案」があったと主張しています。 つまり、日本側には韓国の輸出入管理をめぐる問題意識と、そしてこれは推測が入り混じりますが、徴用工問題をめぐる韓国側の条約違反に対する問題意識があるのです。 一方、韓国側では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領自ら「日本は当初、徴用工訴訟の判決を理由にしたが、国際社会の支持を得られないとみると、戦略物資の密輸と北朝鮮への制裁履行違反の疑惑があるように言葉を翻した」と一方的な日本政府批判を行っています。 文氏の発言には韓国内向けの政治的な意図が感じられます。それはともかく、韓国側の主張をまとめれば、「韓国政府は適切な輸出入管理を実行している。日本政府がとった措置は一方的であり、撤回を求める。7月23~24日に開かれるWTO一般理事会で、日本の措置の不当性を説明する。韓国は日本との協議を希望している」というものです。
徴用工問題など韓国側の態度は理不尽だが
国家間で主張が異なる場合、どちらの言い分が正しいか、判断が困難なことは珍しくありません。今回の措置について、朝日新聞が行った世論調査では56%の人が、産経新聞とFNNの世論調査では70%超の人が「妥当だ」「政府の対応を支持する」と答えています。要するに、多くの日本人が徴用工問題などに関する韓国側の態度は理不尽だと思っているのでしょう。 しかし、今回の輸出入管理の問題はどちらの主張に分があるか分かりにくい部分があります。その主な原因は、日本側が韓国側に「不適切な事案」があったと言いつつ、現時点においては、その具体的内容を説明していない点にあります。 軍事転用可能なフッ化水素が北朝鮮などに横流しされた可能性を指摘する日本の報道も出ましたが、12日の日韓の事務レベル会合で日本側は「第三国への横流しを意味するものではない」との趣旨の説明をしたと報じられています。