舞台に立ち続ける森田剛が「客席は見ない」「見えてしまったらわざとピントをずらす」その理由とは?
殺人犯やヤクザ、戦時下に苦悩するアナウンサーなど、作品ごとに強烈な印象を残す俳優の森田剛さん。10月には赤堀雅秋さん作・演出の舞台『台風23号』に出演する。 【画像】客席が「ずっと真っ暗だったらいいのに…」と語る森田さんの真意は? 赤堀さんは、映画『その夜の侍』や『葛城事件』などで知られるとおり、残酷な世界のなかの人々の悲哀を絶妙なタッチで描いてきた。その独特な世界観と森田さんは親和性がありそうだ。最近の赤堀作品は、なんでもない日常の瑣末な事柄に表れる、人々のずるさや自分本位、素直でない姿をリアルに描写。最新作で森田さんのどんな一面が引き出されることになるか、期待が高まる。 まだ稽古がスタートする前、森田さんに本作や舞台への想いについて、静かに語ってもらった。
ダメな人を演じるのって、実は楽しい
──『台風23号』で赤堀雅秋さんの舞台に初出演なさいます。赤堀さんとは何かお話をされたのですか? 一度、赤堀さんと今回共演する間宮祥太朗くんと3人で食事をしました。ちゃんとお話ししたのはそのときが初めてです。舞台の具体的な話はしませんでしたが、赤堀さんの優しい部分や淋しい部分など、いろいろな面が見られた気がします。 ──赤堀さんはご自身の舞台で、つかみどころのないとぼけた親父役を演じては観客の笑いを一気にさらうので、素顔はどんな方なのだろうと思っていました。 僕もまだわからないです。でも、舞台に出る上では、演出家の方の人柄はあまり関係ないかなと思っています。作品をご一緒するなかでどういう方なのかわかる、というのはありますけどね。 ──現段階(7月下旬)では簡単なプロットのみだそうですが、森田さんは今回どんな役なのですか? 蒲鉾工場で働いている男です。バツイチで、前の奥さんの弟(間宮祥太朗)からお金を借りているそうです、2万円……。 ──微妙な額ですね。返せないのか返さないのか(笑)。 どうなんでしょう? 恋人がいるのに別の女性にも手を出しているような、わかりやすくダメな人。でも、ダメな人を演じるのって、実は楽しいんですよね(笑)。