【岩田稔】阪神渡辺諒の不格好なゴロ捕球に執念感じた 佐藤輝明の代役という重圧もあっただろう
<中日0-1阪神>◇15日◇バンテリンドーム 阪神が延長にもつれこむ熱戦を制し、敵地で連敗を阻止した。3試合連続で「3番中堅」で先発した近本光司外野手(29)が延長11回、決勝打を放った。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(40)は古巣の勝利を見届けた後、前夜に三塁守備で痛恨失策を喫して2軍降格した佐藤輝明内野手(25)の代役、渡辺諒内野手(29)の泥臭い守備をたたえた。【聞き手=佐井陽介】 【写真】低空ライナーにしっかり反応し、好捕した渡辺諒 ◇ ◇ ◇ 両チームともに守備を固めた、「これぞプロ野球」と表現したくなる締まった試合でした。毎度ロースコアになるバンテリンドームでの中日-阪神戦。度肝を抜くファインプレーがあったわけではありませんが、難しい打球をいとも簡単なプレーに見せる技術の応酬は玄人ファンをうならせたのではないでしょうか。 中でも注目したのは阪神渡辺選手の三塁守備です。今季1軍初昇格したこの日、早速「6番三塁」で先発。初めて飛んできた打球はいやらしいゴロでした。0-0の3回2死一、二塁で中日5番中田のゴロが強く跳ねながら正面へ。難しいバウンドに対して、渡辺選手は体勢をやや崩されながらも泥臭く捕球し、二塁封殺を決めました。率直な感想は「よくはじかなかったな」。少し不格好だったかもしれませんが、1球に懸ける執念を感じたのは私だけではないでしょう。 6回2死二塁の場面でも7番山本選手の三塁右への低空ライナーにしっかり反応し、丁寧にダイビングキャッチ。こちらもビッグプレーと表現するほど難しい当たりではありませんでしたが、勝負どころで捕ってほしい打球をしっかり捕る、という点ではナイスプレーだと感じました。 前夜の豊橋市民球場では阪神、中日ともに守備にほころびが出ました。阪神は佐藤輝選手が8回裏に痛恨の捕球ミスを喫するなど2失策。中日も一塁手・中田選手の本塁送球がそれる野選で失点を与えていました。そんな試合から一夜明け、2軍降格の佐藤輝選手に代わって昇格したのが渡辺選手です。絶対にミスができない重圧もあったであろう中で堅実な守りを貫けたのは、2軍の鳴尾浜球場で怠らなかった準備のたまものに違いありません。 中日側も左翼手のカリステ選手がダイビングキャッチを決め、二塁手・田中選手も一、二塁間のゴロを何度も間一髪で止めるなど、締まったプレーが相次ぎました。慣れない地方球場から慣れ親しんだ球場に戻っての一戦。両チームの守備陣にプロとしての意地を見た気がしました。(日刊スポーツ評論家)